りんごの本場でバイオマス発電、収穫後に出る大量の枝も燃料に:自然エネルギー
青森県の津軽地方で、りんごを収穫した後の剪定枝や森林を維持するための間伐材を燃料に活用するバイオマス発電プロジェクトが始まる。地元の森林事業者が20年間にわたって未利用の木材を供給する。2015年度に発電を開始して、2年目には年間13億円の売上を見込む。
津軽地方で計画中のバイオマス発電プロジェクトは3つの事業で構成する。木質バイオマスの原材料を提供する「木材供給事業」、木材から燃料のチップを加工する「材料供給事業」、そしてチップを使って電力を作る「発電事業」という流れだ(図1)。
このうち木材の供給に関しては、地元でバイオマス発電の事業化を検討してきた「津軽新エネルギー事業研究会」に加盟する森林事業者が担当する。木質バイオマスを使った発電事業では、大量の未利用材を長期にわたって確保することが最大の課題になっている。津軽のプロジェクトでは最初から森林事業者が参画して、この問題をクリアした。
発電事業を担当する「津軽バイオマスエナジー」は、東京に本社がある廃棄物処理・リサイクル事業のタケエイがグループ会社を通じて4月1日に設立する予定だ。地元の平川市も出資することになっている。さらに材料供給事業は別会社の「津軽バイオチップ(仮称)」が担当する分業体制をとる。
発電規模は6250kWで、2年後の2015年度に事業を開始する計画である。24時間運転で年間に340日の稼働を想定している。年間の発電量は5000万kWh程度になる見込みだ。一般家庭の電力使用量に換算すると約1万4000世帯分になり、平川市の世帯数1万1478(2013年2月末)を上回る。
実際に発電した電力は固定価格買取制度を利用して電気事業者に売却する。木質バイオマスによる電力の買取価格は現時点では1kWhあたり24円〜32円(税抜き)に設定されている。年間に13億円程度の売上を見込める。一方で発電設備の導入にかかる事業費は20億〜30億円になる。木材の調達コストなどを加えても十分に採算が合うだろう。
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