太陽光発電所の遠隔監視をクラウドで実現、廃校を生かした鳥取県の日南町:エネルギー管理
大規模な太陽光発電システムを導入した企業や自治体にとって、発電量や稼働状況の監視が大きな課題になっている。鳥取県の日南町は小学校の跡地に設置した340kWの太陽光発電システムを対象に、日本マイクロソフトのクラウドサービスによる遠隔監視を開始した。
鳥取県の日南町は中国山地の真ん中に位置する自然環境に恵まれた町である。ちょうど4年前の2009年3月のこと、80年以上の歴史がある小学校を統廃合のために廃校にした。その石見東小学校の跡地に太陽光発電システムを設置することを決め、2012年12月から発電を開始した(図1)。
発電量は340kWで、年間の発電量は27万kWhを見込んでいる。売電すると年間に1000万円程度の収入になる。この町営の太陽光発電所で3月1日から遠隔監視システムが動き始めた。発電量や稼働状況などのデータをネットワーク経由で収集して、町役場のパソコンから確認できる。
システムを構築するにあたっては、日本マイクロソフトのクラウドサービスである「Microsoft Windows Azure(アジュール)」を採用した。Azureは企業の情報システムで使われることが多く、太陽光発電所の遠隔監視システムに適用した事例で公表されたのは日南町のケースが初めてだ。
全体のシステム構成を見ると、太陽光発電所のパワーコンディショナー(PCS)をネットワークに接続して、発電量などのデータをAzureのデータセンターにあるサーバーで集約する形になっている(図2)。そこから町役場のローカルサーバーに集計結果が送られて、ほぼリアルタイムに発電状況を監視することができる。発電量のデータは日南町役場のウェブサイトにも5分間隔で表示されるので、住民が確認することも可能だ。
発電所にはウェブカメラも設定してあり、町役場のパソコンの画面上に太陽光パネルの実際の様子が映る(図3)。さらに発電量のデータなどから異常を検出した場合には、警報ライトが点灯して、担当者は迅速に復旧作業に入ることができる。
日南町役場の久城隆敏住民環境室長は「発電所の管理システムを、コストを抑えて短期間で導入できた」とクラウドサービスを活用したメリットを挙げる。
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