海水の熱エネルギーを空調に、横浜八景島で「ブルーカーボン」に挑む:自然エネルギー
海洋資源を活用してCO2排出量を削減する「ブルーカーボン」の新たな取り組みが横浜市の八景島で始まる。海水の熱を取り込めるヒートポンプを導入して、水族館の空調機器の熱源に利用する計画だ。電気やガスを使う場合と比べてエネルギー効率が約20%向上する。
横浜市は1年半前の2011年9月から、東京湾に面した海洋アミューズメント施設の「八景島シーパラダイス」で「ブルーカーボン」の実証実験を開始した。ブルーカーボンは海洋生物や海洋エネルギーを活用して温室効果ガスを削減する世界的な取り組みで、国内では横浜市が先行している。
当初は貝類や藻類を育成して温室効果ガスを吸収する実験から始め、この4月からは海洋エネルギーのプロジェクトにも着手する。八景島シーパラダイスの水族館で利用している空調設備に、新たに海水を熱源に使えるヒートポンプを導入した(図1)。
海水は年間を通じて温度が安定しているため、温度差を利用して冷暖房ができるヒートポンプに使うと効果が大きい。これまでと比べて空調設備のエネルギー効率(COP)が20%向上する見込みだ。
もともとブルーカーボンは国連環境計画(UNEP)が提唱した取り組みのひとつで、従来の森林資源を中心にした温暖化対策「グリーンカーボン」に加えて、海洋資源による温暖化対策を並行して推進する考え方である。UNEPのブルーカーボンは海洋生物を主な対象にしているが、横浜市は海洋エネルギーなどの「ブルーリソース」を包含した形で対象を拡大する(図2)。
ブルーリソースの中には海水を使ったヒートポンプのほかに、防波堤を利用した波力発電、さらには海洋バイオマスによる燃料生成なども想定に入っている。今後も八景島を中心に、海洋エネルギーの活用を含めた「横浜ブルーカーボン」の取り組みを拡大していく計画だ。
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