ニュース
年間6400万円の導入効果、下水処理場のバイオマス発電:自然エネルギー
固定価格買取制度で初めて下水処理場のバイオマス発電が認定された。栃木県の下水道浄化センターが下水の汚泥から発生するメタンガスを利用して発電するもので、2014年度末から運転を開始する。20年間の買取期間を通じて毎年6400万円の利益を生み出せる見込みだ。
バイオマス発電の買取価格は原材料によって5つに分かれていて、最も高いのが「メタン発酵ガス化バイオマス」の40.95円/kWhである(図1)。ガス化バイオマスには下水汚泥と家畜糞尿の2種類があり、このうち下水汚泥を使った発電設備としては全国で初めて、栃木県の「鬼怒川上流流域下水道県央浄化センター」が3月29日に認定を受けた。
この発電設備は下水の汚泥を処理する過程で発生するメタンなどのバイオガスを利用する。原理は家庭用の「エネファーム」と同様にガスから水素を取り出して、空気中の酸素と反応させて電気を発生させる方法だ(図2)。いわゆる燃料電池を使った発電設備である。
浄化センターでは年間に130万立方メートルのバイオガスが発生する。これを利用して3台の発電機で合計315kWの電力を作り出すことができる。年間の発電量は252万kWhになり、売電収入は1億円強を見込む。これに対して建設費は4億円で、維持管理費などを考慮しても年間に6400万円の利益が出る(図3)。
関連記事
- 下水処理場で太陽光とバイオマス、神戸市が「Wエコ発電」
12月から発電を開始、約1300世帯分の電力供給能力 - 下水の汚泥からバイオマス燃料、火力発電所で石炭と混焼
長崎県の発電所、燃料は熊本市の下水から製造 - バイオマスで電力と水素を生成、復興だけでなく新産業創出を目指す
「宮古市ブルーチャレンジプロジェクト」 - バイオマスは電力源の宝庫、木材からゴミまで多種多様
再生可能エネルギーの固定価格買取制度(8)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.