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文具メーカーが挑戦、木の豊富な島根県でバイオマス発電:自然エネルギー
バイオマス発電は、太陽光や風力と異なり、エネルギー源となる木質を企業が積極的に集めなければ発電できない。文具メーカーが参入するにはどうすればよいのだろうか。
木質バイオマス発電は太陽光発電などと比較すると、参入するハードルが高い。林業や製紙業、リサイクル業など、もともとバイオマスに関連した企業でないと、取り組みにくいのだ。なぜだろうか。燃料が手に入りにくいからだ。発電所が運営される限り、林地残材や廃材などを日々、一定量入手しなければならない。これが太陽光や風力、小規模水力などとは違ったバイオマスの難しさだ。
写真アルバムや文房具などを扱うナカバヤシは、2013年4月、約30億円を投じて島根県松江市に出力6.25MW、年間発電量4342万kWhのバイオマス発電所を建設すると発表した(図1)*1)。流動層ボイラーと蒸気タービンを組み合わせた発電所であり、2015年4月に発電を開始する計画だ。年間13億円の売電収入を見込む。
*1) 子会社として松江バイオマス発電を設立し、ナカバヤシが55%出資する。その他、日本紙パルプ商事が40%、島根県の三光が5%出資する。
そもそもなぜナカバヤシがバイオマス発電に取り組むのか。「当社はノートや印刷物などを取り扱っていることから、シュレッダーやシュレッダーで集まった紙のリサイクルにも事業として取り組んでいる。今回さらに川上にあたる木質バイオマスに注目した」(ナカバヤシ)。同社は1971年に島根県に工場を設立しており、島根県とのつながりがある。島根県の林地面積は78%と高く、木材の需要よりも供給が多い状態だ。
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