メガソーラーの資金調達が進まない――ドイツと米国の企業が日本向けのプログラムを発表:自然エネルギー
出力10MW以上のメガソーラーを建設しようとすると、最低でも20数億円の資金が必要だ。資金調達がネックとなってプロジェクトが進まない場合がある。そこで、ドイツと米国の企業が資金調達からEPC、O&Mに至るメガソーラーに必要なサービスを組み合わせ、日本向けに提供する。
メガソーラー、それも大規模なメガソーラーを建設しようとしたとき、最大の壁は資金調達にある――こう主張するのは米国の再生可能エネルギーに関する投資顧問会社Greenpower Capital社長のJeff Butler氏だ。特に出力10MW以上のプロジェクトに当てはまるのだという。
土地は用意できた。日照も十分ある。しかし金融機関からの融資が下りない。これではせっかくのメガソーラープロジェクトも先には進まないだろう。
そこでGreenpower Capitalとドイツの太陽光発電事業会社のWirsol Solarが共同で日本向けに「メガソーラー・パトナー・プログラム」を2013年5月に発表した。出力10MW以上の規模のメガソーラーを計画している土地所有者やデベロッパに向けて、ファイナンス(資金調達)に加えて、設計・調達・建設(EPC)、運用管理(O&M)などのサービスを提供する。
サービスの内容はこうだ。3つの段階を踏んでメガソーラーが完成する。国内の土地所有者やデベロッパが3つの条件をクリアすることが前提だ。第1に、用地の確保だ。出力10MWだと、16〜18haの土地が必要だ。土地の権利はリースでも買い取りでも構わないが、農地転用手続きや林地開発許可手続きが必要な場合は全てデベロッパ側で完了しておく必要がある。第2に経済産業省の設備認定、第3に電力会社との系統連系の本申請と承諾だ。
この3点がそろったプロジェクトをGreenpower Capitalが買い取る(土地は賃貸契約可能)。その後、Greenpower CapitalとWirsol Solarが土地の造成、メガソーラーの建設、試運転、系統連系を終える。これが第2段階だ。第3段階では、20年間のO&Mサービスや保証、太陽電池モジュールメーカーの倒産などに備えた再保険をメガソーラー本体と組み合わせた状態で、日本企業の投資家に丸ごと売却する。
「Wirsol Solarは造成や建築の段階で日本企業の協力を得る。1MW当たり1〜2週間で建設できる」「海外の企業がメガソーラーを立ち上げるが、売電収入は国内企業に全て渡ることが特徴だ」(Greenpower Capital)。
Wirsol Solar、Greenpower Capitalの2社はいずれも大規模な複数のメガソーラープロジェクトに関与した実績を誇る。Wirsol Solarは太陽光発電に10年以上取り組み、導入規模は合計で450MWに達しているという(図1)。
Greenpower Capitalは米国やカナダ、プエルトリコ、ドミニカ共和国などの北米に加えてイギリスなどでも固定価格買取制度(FIT)が確立している国に向けてプロジェクトファイナンスの経験があるとした。既に日本全国で出力10〜50MWのメガソーラーについてデベロッパとパートナーシップを締結したという。2013年中に日本で合計150MW、2014年には合計250MWのプロジェクトをWirsol Solarと共同で開発する目標である。
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