日本に最も多く天然ガスを輸出している国は?:ウイークエンドQuiz(2/2 ページ)
火力発電所で利用する燃料として最大の液化天然ガス(LNG)。日本に最も多く輸出している国はどこだろうか?
正解:
a. マレーシア
ミニ解説
経済産業省資源エネルギー庁が2013年6月に公開した「平成24年度 エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2013)」によると、2011年度に日本に最も多くの液化天然ガス(LNG)を輸出した国はマレーシアだ。日本は国内で消費するLNGの96.9%を輸入に頼っており、2011年度は8318万トンのLNGを輸入した。マレーシアはそのうち18.2%を供給している(図1)。
LNGは同じ熱量(電力)を得る場合に排出する二酸化他素(CO2)が、他の化石燃料と比較して少ないという優れた特徴がある。これは天然ガスの主成分が水素原子の比率が高いメタン(CH4)だからだ。マレーシア産天然ガスの場合メタンが91.6%含まれている。
供給国の地域的な偏りはどうなっているのだろうか。図1を見ると日本に比較的近いアジア太平洋州が7割を占め、石油では8割以上も依存している中東は、LNGでは3割依存するにすぎない。つまり、石油と天然ガスはある程度リスク分散ができているといえる。
ただし、相手国が分散していることに安心してはいられない状況もある。日本では天然ガスの7割を発電に、都市ガスとして3割を使っており、極めて重要な資源だ。しかし、2011年の世界のLNG貿易の32.3%、実に3分の1を日本が占めている。従って、LNGの世界生産量や価格に何らかの問題が起こると、すぐに影響が及んでしまう。
LNGの輸入量を見ると、500万トン程度だった1975年からほぼ一直線に増加しており、1978年に1000万トンを突破、1983年に2000万トン、1993年に4000万トンを超えて、2011年の8318万トンに至っている。日本はこれまで取引相手国を増やすことで需要の拡大に対応してきた(図2)。
今後はどうすればよいのだろうか。対応策は複数ある。世界のLNG産出量は2000年から2009年へ6%増加している。つまり、絶対量が不足しているわけではない。さらにLNGの最大産出国(シェア19.3%)であるアメリカからの輸入量はいまだにほぼゼロ、世界最大の輸出国ロシア(シェア18.4%)からの輸入量が、図1、図2で分かるよう少ない。従って、中期的にはこれまで同様、取引先相手国を増やしていくことで対応できる。米国やロシアとの関係が重要だ。
なお、米国はシェールガスの生産拡大を見込み(図3)、日本への輸出を解禁したばかりだ(関連記事)。シェールガスの成分はこれまでの天然ガスとほぼ同じであるため、LNGとして利用が可能だ。
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