85年前から運転を続ける水力発電所、設備更新で100 kWパワーアップ:電力供給サービス
古い水力発電所の改修に取り組んでいる北陸電力が、1928年に運転を開始した発電所の設備を更新した。性能確認試験を実施したところ、従来の1900kWから2000kWに出力を増やすことができた。北陸電力が水力発電所の出力増強を実施したのは最近3年余りで12か所にのぼる。
石川県にある「九谷発電所」は北陸電力の水力発電所の中で最も古くから稼働しているうちのひとつで、運転開始は今から85年前の昭和3年(1928年)である。発電設備を収容した本館の建物は歴史を感じさせる風格がある(図1)。
このほど発電設備を更新したところ出力が100kW増加した。ベルトン式と呼ぶ水の速度だけを利用して水車を回転させる設備で、水の流れを受け止める水車ランナーの構造を変えて出力を上げることができる(図2)。
九谷発電所にはベルトン式の発電機が2台あり、合計の出力が1900kWから2000kWに増えた。年間の発電量の増加は30万kWhを見込んでいる。一般家庭の電力使用量に換算して約80世帯分に相当する。
北陸地方は山と川が多く、古くから水力発電が盛んに行われてきた。北陸電力の発電量の約2割を水力が占めていて、原子力発電所が停止中の状況にあって水力発電設備の増強が重要な課題になっている。すでに2010年から2012年の3年間に既存の設備の改修を10か所で実施して、合計2390kWの出力を増加させた(図3)。
2013年に入ってからも福井県にある水力発電所を改修して出力を300kW増やした。北陸電力は既存設備の改修や小水力発電設備の導入により、2020年までに水力発電の発電量を2007年と比べて年間8000万kWhも増加させる計画だ。一般家庭で約2万3000世帯分の電力になる。
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