エアコンを細かく切ると節電になるか?:ウイークエンドQuiz(2/2 ページ)
節電に協力する際、家庭ではエアコンの使い方が鍵になる。そもそも使わなければよいのだが、気温が35度にもなると、それは無理な相談だ。では、時々切ればよいのだろうか。今回の質問はエアコンのスイッチをこまめに切ると上手に節電できるかだ。
正解:
d.意味がない
ミニ解説
経済産業省は「夏季の節電メニュー(ご家庭の皆様)」という文書を2013年4月から公開している。この文書によると、夏の昼間(14時を想定)に最も電力を消費するのはエアコンだ(図1)。電力消費のうち58%をエアコンが占めており、第2位の冷蔵庫(17%)は調整の余地が少ないため、エアコンの使い方が鍵になる。
経済産業省はエアコンの節電手法を3つ挙げている。第1に設定温度を26度から28度に上げることだ。これだけで節電効果(削減率)は10%ある。第2にすだれやよしずを窓に配置してそもそも室内に入る光を遮ることだ。これで10%。第3に無理のない範囲でエアコンを消して扇風機を使用することだ。これは効く。50%にものぼる。他の家電をどのように使っても5%を超える節電効果はない。
「ふむ、冷えてきたらエアコンを小まめに消せば良いのか」というのは早合点だ。経済産業省の文書でもわざわざ注意書きに「除湿運転やエアコンの頻繁なオンオフは電力の増加になる場合があるため注意が必要です」と書いているほどだ。
関西電力が実験してみた
本当にそうなのか。関西電力は「日中(外気温度35度)在宅時、エアコンはこまめに消す方がいい?」と題した実験結果を公開している。約20畳の部屋を用意し、15〜18畳用の出力6.3kWの家庭用エアコン1基を使ったものだ。室内で生じる熱は日射と電気製品の量を想定して200Wとした。
実験は2つある。いずれも240分間の実験だ。どちらも前半の120分間、28度設定のまま運転した。すると消費電力量は470Whだった。
実験1では後半の冒頭5分間だけエアコンを停止、その後の115分間は28度設定で運転した。節電になっただろうか。とんでもない。後半120分間の消費電力量は539Whとなり、前半と比べて69Wh(15%)も増えてしまった。全く節電になっていない。
実験2では後半の冒頭で15分間エアコンを停止し、その後105分間28度設定で運転した。この場合は後半の消費電力が509W。消費電力の増加分は39W(8%)だ。
なぜ消費電力が増えるのか
関西電力の実験はまだ終わっていない。同社はエアコンの消費電力を細かく測定した。すると、前半の消費電力は200〜300W(平均240W程度)で安定していた。後半はエアコン再開時に400W以上に高まり、30分が経過しても300W以下にならない。45分後以降は前半とほぼ同じ消費電力になった。
エアコンをいったん停止すると再び起動する際に消費電力が瞬間的に上がり、上がったまま30分以上動くというのが、節電にならない理由だった。
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