風力発電の導入量が2012年度に30%減少、2013年度から増加へ:自然エネルギー
風力発電の導入状況を継続的に調査しているNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)によると、2012年度の風力発電の導入量は前年度から30%も減少した。3年連続の減少だが、固定価格買取制度の開始によって建設計画が急増しており、2013年度からの反転が期待できる。
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が調査の対象にしているのは実際に運転を開始した風力発電設備で、2012年度は50基が新たに稼働した。合計すると8万7760kWになり、年度別の導入量では2000年以来の低い水準である(図1)。再生可能エネルギーの中では太陽光に次いで期待の大きい風力発電だが、実働ベースでは伸び悩んでいるのが現状だ。
理由はいくつか考えられる。第1に太陽光発電と比べて建設に時間がかかり、コストも巨額になる。大規模な風力発電設備になると、計画開始から稼働までに3〜5年程度を要する。第2の問題は環境への影響だ。特に鳥類を保護するために反対運動が起こりやすく、事業者にとっては計画を進めるうえでハードルが高い。
それでも2012年7月から固定価格買取制度が始まったことによって状況は変わってきた。巨額のコスト負担に対して投資回収を見込みやすくなり、大規模な風力発電設備の建設プロジェクトが全国各地で相次いでいる。
買取制度を運営する資源エネルギー庁によると、2013年5月末の時点で79万6000kWの風力発電設備が認定を受けている。そのうち70万kW以上が未稼働の状態にある。今後3年以内に運転を開始できると考えれば、単純平均で年間に20万kWを超える風力発電設備が稼働していく。2013年度から導入量が増加に転じることは十分に予想できる。
都道府県別の導入実績を見ると、2012年度に大きく伸びたのは青森、秋田、茨城、兵庫、鹿児島の5県である。それぞれ1万〜2万kW級の大規模な風力発電所が新たに稼働した(図2)。
累計の導入量では青森県がトップで、北海道と鹿児島県が続く(図3)。一方で固定価格買取制度の認定設備の規模では三重県が13万kWと最も大きく、すべて未稼働の状態にある。このほか北海道と秋田県でも10万kW程度の風力発電設備が認定を受けて運転開始に向かっているところだ。
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