京都の風車落下事故で異常な事態、6基のうち5基に亀裂:自然エネルギー(2/2 ページ)
京都府の「太鼓山風力発電所」で3月に発生した風車落下事故の詳細が次第に明らかになってきた。稼働していた6基の風車のうち、事故機を含む5基で亀裂が見つかった。運転開始から12年しか経過していないため、一般的な金属疲労ではなく、風の乱れによる荷重超過が原因とみられている。
事故機のほかにも深さ8ミリの亀裂
事故原因を究明する専門家会議が5月12日と8月4日の2回にわたって検討した結果によると、破断の原因は強い力を継続的に受けたことによる「疲労」とみなされている。ただし通常の金属疲労のように材料の耐久性の問題ではなくて、風の乱れによる荷重の超過が原因になった可能性が大きいと考えられている。もしそうだとすれば、常に不規則な風にさらされる風力発電設備の安全性が問われることになる。
8月4日の第2回会議の資料が9月に入ってから京都府のウェブサイトで公開された。その資料には驚くべき事実が含まれている。事故を起こした3号機のほかにも、4基の設備で同様の部分に亀裂が見つかっている(図6)。亀裂が入っていなかったのは1号機だけである。
特に5号機は長さが2.3メートル、深さが最大8ミリの亀裂が入っていて危険な状態にあるため、早急に設備を降下させなくてはならない状況だ。いずれの亀裂も外面の鉄板に生じたものだが、鉄板の厚さは10ミリしかない。
今後の焦点は、風の乱れによる荷重が破断を引き起こした原因として特定できるかどうかである。第3回目の専門家会議が9月下旬から10月上旬に開催される予定で、それまでに構造解析を進めて評価結果をまとめることにしている。その結果によっては全国各地の風力発電設備で「疲労対策」を早期に実施する必要がある。京都府には迅速な情報公開が求められる。
関連記事
- 風車落下事故の全容が明らかに、アルミ合金製の部品が硬度不足
三重県の青山高原で4月に発生した事故の調査結果 - 風車の落下事故から3カ月で運転再開、18基を順次稼働へ
三重県の「ウインドパーク笠取発電所」が部分的に運転開始 - 風力発電の3つの課題−環境影響、安全性、コスト−
再生可能エネルギーの現実(2) - なぜなぜ風力発電、生まれ変わる古代の技術
発電の仕組み(2) - 温暖化防止のシンボル都市が挑む、温室効果ガス8割削減
日本列島エネルギー改造計画(26)京都
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.