20kWhと大容量の法人用蓄電システム、NECがビジネス継続用に製品化:発電・蓄電機器
NECはBCP(ビジネス継続計画)に役立つ法人向け大容量リチウムイオン蓄電池を製品化した。容量により2種類の製品がある。容量20kWhの製品は太陽光発電システムと直流のまま接続できるなど、停電時のシステム利用時間をより長くできる工夫を入れ込んだ。
NECは2013年10月に法人用蓄電システムの出荷を開始する。オフィスや工場に向けたリチウムイオン蓄電池であり、BCP(事業継続計画)に役立つシステムという位置付けだ。
蓄電システムは2製品に分かれる(図1)。容量20kWhの「20kWh 蓄電システム」は、オフィスや店舗、工場に向けた製品。BC対策本部で必要な機器(想定消費電力1555W)を約12時間動作できることをうたう。消費電力の内訳は、テレビ会議システム(150W)と液晶テレビ(90W)、固定電話5台(25W)、衛星電話充電機2台(20W)、携帯電話充電機10台(150W)、ノートPC5台(500W)、照明20台(500W)、ファクシミリ1台(120W)というものだ。
蓄電システムに必要な電力変換器以外に、太陽光発電システムに必要なパワーコンディショナを一体化した。一体化によりどのような利点が生まれるのだろうか。太陽光発電システムと組み合わせた場合、停電時には太陽電池モジュールから得た電力を重要負荷へ直接供給できるとともに、蓄電システムへの充電も同時に実行できるということだ。さらに太陽電池モジュールの出力である直流電流を交流電流に変換せず直流のまま充電に使うため、電力損失を抑えることができる。
出力10kWの太陽光発電システムと接続した場合、地域によるものの晴天時に1日約28kWh発電できる。このため、12時間だった使用可能時間が3日以上に延び、より優れたBCPが実現できるという。
容量5.56kWhの「小型蓄電システム」は小規模オフィスや小売店舗に向けた製品。停電時に重要業務を続行するために必要な消費電力が590Wの場合、約7時間動作する。ノートPC4台(200W)とLED照明4個(40W)、ネットワーク用ハブ(50W)、サーバ(300W)という機器構成の場合の例だ。
保守管理や系統接続にも利点
今回の蓄電システムにはBCPに役立つという利点以外にも2つの特徴がある。まず、24時間365日の遠隔監視が可能だ。ネットワーク経由でNECのデータセンターに常時接続できるため、全国400拠点の保守体制と組み合わせて24時間、365日の保守管理を実現できる。
次に、電気料金を抑えることができるという通常業務でのメリットだ。蓄電システムを分電盤に接続することで商用系統電力や太陽光発電システムと連携でき、充放電制御をかけることで、太陽光発電システムや夜間の安価な系統電力を利用できるようになる。月間の電気使用料金を抑えやすい。
価格は20kWh 蓄電システムが2000万円(税別)から。これは入力電力が単相か、三相か、太陽電池モジュールからの入力電流が45Aか90Aかによって4種類のモデルに分かれるためだ。外形寸法は高さ2050mm、奥行き800mm、幅は1200mmまたは1800mm。重量は約950kgから。
小型蓄電システムは複数のモデルに分かれておらず、252万円(税別)。高さ1065mm、奥行き310mm、幅980mm。重量は約173kg。
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