第1段階の「広域機関」の設立準備が進む、2014年1月に組合を発足:動き出す電力システム改革(5)
開催中の臨時国会で法改正が成立すると、2014年の年明けすぐに改革の準備がスタートする。第1段階の「広域的運営推進機関」の設立準備組合を1月にも発足させて、夏には全国レベルの需給調整に必要なシステムの開発に入る。順調に行けば2015年の早い時期に業務を開始する見通しだ。
改革の第1段階を担う「広域的運営推進機関」の詳細が固まりつつある。この広域機関によって地域を超えた需給調整が可能になり、電力会社に依存しない全国レベルの管理体制へ移行する。続く第2段階の「小売全面自由化」や第3段階の「発送電分離」を推進するためのインフラを形成する役割もある(図1)。
そのためにすべての電気事業者が広域機関の会員になって業務に協力する体制を作る。電力会社のほかに大手の発電事業者や新電力にも加入を義務づける。重要な方針や計画は月1回の理事会と年1回の総会で決める。議決権の配分などは今後検討するが、電力会社に偏らない中立的な組織を作ることが大前提である。
資源エネルギー庁の素案によると、2014年1月に設立準備組合を発足させて、7〜8月に創立総会を開催するスケジュールで進んでいく(図2)。電気事業法の改正案では2015年のうちに広域機関を設立することになっていて、早ければ4月にも業務を開始する見通しだ。
それまでの間に業務の詳細設計を進める一方で、全国レベルの需給調整に必要なシステムの仕様を策定する必要がある。このシステムでは全国の需要と供給力を監視しながら、地域間で電力を融通するための「連系線」の運用を制御できるようにする。さらには再生可能エネルギーの拡大によって問題になる電力の周波数を地域間で調整する機能も備える。
約1年かけてシステムを開発して、2015年末までに試運転を開始する計画だ。2016年4月から本格運用に入って、電力需給が厳しくなる夏の時期に効果を実証できるようにする。これとほぼ同じタイミングで第2段階の小売全面自由化が始まる。
広域機関のシステムには電力を利用する需要家の情報も集約して、許可を受けた小売事業者であれば閲覧できるようにする方針だ。本来の需給調整機能に加えて、電気事業者が需要家を獲得するための支援機能も提供する。まさに電力システム改革の基盤づくりを担うことになる。
第6回:「地域を超えた電力小売を加速」
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