津波避難ビルの屋根にメガソーラー、下水処理場が何倍にも役立つ:自然エネルギー
富士市は市内の下水処理場を津波避難ビルとして指定後、屋上を利用した大規模太陽光発電の導入も検討。避難時に電力が得られる施設として生かそうとしている。日本企業とカナダ企業の2社が事業を具体化、2014年10月には出力1.7MWのルーフトップ型のメガソーラーが完成する予定だ。
静岡県富士市は駿河湾にほど近い下水処理施設「西部浄化センター 水処理棟」(富士市宮島)の屋根部分を利用した事業を企画している(図1、図2)。再生可能エネルギーの利用促進が第1の目的だ。同センターは東日本大震災以降、津波避難ビルに指定されており、災害時などに非常用電力を確保しなければならない。これが第2の目的だ。
富士市は2013年9月に「富士市終末処理場屋根貸し太陽光発電事業」の公募への受付を開始、同年10月には最も評価点の高い技術提案書の提出者として、カナダSolar Power Networkと、国際ランド&ディベロップメントの共同企業体を発表。同年11月には事業に関する基本協定書を結んだ。
国際ランド&ディベロップメントは日本アジアグループ傘下の企業であり、太陽光発電の企画・建設(EPC)と運営管理(O&M)サービスを提供している。Solar Power Networkは主に企業を対象としてカナダで150万m2のルーフトップ(屋根利用)型太陽光発電システムを手掛けている企業だ。合計容量は150MWに及ぶという。
共同企業体の提案「富士市西部浄化センター太陽光発電所(仮)」(図2)はどのような内容なのか。
富士市の条件は、屋根面積1万476m2を利用*1)し、積載荷重 600N/m2以下のシステムを設計、300kW以上の容量で20年間の発電事業を継続するというもの。富士市は月間施設面積使用料と月間発電実績使用料を得る形だ。
共同企業体は事業費約5億円を投じ、2014年10月の運転開始を目指す。屋根面積を生かすために単結晶シリコン太陽電池モジュールを5163枚設置し、出力約1.7MWを得る。屋根を利用したものとしては静岡県内で最大級だという。
「当社がルーフトップ型太陽光発電所のEPCとO&Mを担当する。想定年間発電量は約164万kWh、1kWh当たり36円(税別)で売電する。東京電力に20年間売電する予定だ」(国際ランド&ディベロップメント)。軽量化の工夫によって重量制限と強度を両立させた設計を検討中だ。非常用電源の要求は自立運転可能なパワーコンディショナーを一部採用することで満たすとした。
*1) 共同企業体の提案では、パワーコンディショナーを屋根上に設置するため、設置面積は1万616m2とわずかに広くなった。
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7カ所で合計約2.5MW
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