インセンティブで電力需要を減らせるか、6種類のデマンドレスポンスで検証:エネルギー管理
地域単位で電力の需要を抑制する方法に「デマンドレスポンス」がある。東京電力は6組のアグリゲータと連携して、それぞれ違う方式によるデマンドレスポンスの実証事業を2014年度に実施する。合計1100カ所の事業所を対象にインセンティブを提供、最大9万kWの需要削減を試みる計画だ。
夏の昼間など電力の需給状況が厳しくなった時に有効な手段になるのが「デマンドレスポンス」である。標準的な実施方法は、電力会社からの要請に対してアグリゲータが仲介役になり、顧客(需要家)に節電を要請する(図1)。節電した電力量に応じて顧客にインセンティブ(報酬)を支払うのが一般的である。ただし実際に需要を削減する効果は十分に検証できていないのが現状だ。
そこで経済産業省は2013年度に総額96億円の予算で実施する「次世代エネルギー・社会システム実証事業費補助金」の一環で、新たに6種類のデマンドレスポンス実証事業を選定した(図2)。いずれも東京電力がアグリゲータと共同で取り組む(図2)。
6組のアグリゲータのうち4組は、これまでも国内でデマンドレスポンスのサービスを実施してきた。新たに対象範囲を拡大するほか、電力の削減量を供給量とみなして取引する「ネガワット」の仕組みをインセンティブとして導入する。さらに欧米のノウハウを活用する2組を含めて、2013年度中に各アグリゲータがシステムを開発して、2014年度に事業を開始する予定だ。開発費の2分の1までが補助金として支給される。
デマンドレスポンスの対象はオフィスビルや工場が中心になる。インセンティブの金額によって、どのくらいの電力を削減できるか、実際に削減できるまでに必要なリードタイムはどの程度か、などを検証する。将来に地域全体でデマンドレスポンスを実行した場合の効果やコストを把握することが目的である。6組を合わせた事業の目標は対象の顧客数が1100カ所で、電力の削減量は9万kWを想定している。
東京電力の夏のピーク時の需要は5000万kWを超える。9万kWでは0.2%程度に過ぎないが、デマンドレスポンスの対象を10倍に拡大すれば需要の2%を抑制できることになる。東京電力は実証結果をもとに、将来に向けて発電コストや電力購入コストの削減につなげる方針だ。
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