落雷が原因か、福井と北海道で風力発電所の事故が連続:自然エネルギー
風力発電所の事故が止まらない。12月1日(日)に福井県の「国見岳風力発電所」で火災が発生したのに続き、5日(木)には北海道の「オロロン風力発電所」でも風車の羽根などが落下する事故が起きた。原因を調査中だが、2件とも落雷による可能性がある。
「国見岳(くにみだけ)風力発電所」で事故が発生したのは、12月1日(日)の午前9時ごろとみられている。2基のうちの1基(2号機)で火災が発生して、3時間後の12時4分に福井市臨海消防署が消火した。
火災によって2号機の一部が破損して、風車の羽根などが地上に落下したものの、周辺に延焼するなどの被害は発生していない。発電所を運営する北陸電力によると、当日の未明から落雷が観測されている。
国見岳風力発電所は福井県の企業局が2002年に運転を開始した設備で、発電能力900kWの風車2基が稼働していた(図1)。2010年に北陸電力が福井県から事業を譲り受けて運営にあたっている。
この事故からわずか4日後の12月5日(木)には、北海道の羽幌町(はぼろちょう)にある「オロロン風力発電所」でも同様の落下事故が起こった。発生時刻や事故当時の状況は明らかになっていないが、400kWの風車2基のうちの1基(1号機)の羽根などが地上に落下していた。
オロロン風力発電所はコスモ石油などが出資する風力発電の専門会社「エコ・パワー」が1998年から運転している(図2)。エコ・パワーの発表によると、前夜から発電所の周辺で落雷が観測されていた。
両方の事故ともに原因を調査中だが、いずれも落雷が原因だった可能性がある。もうひとつの共通点は、風車のメーカーが同じデンマークのNEG Micon社であることだ。NEG Micon社の風力発電設備は世界各国で数多く採用されていて、日本では荏原製作所が設備の施工を担当するケースが多い(事故機の施工会社は現時点で不明)。
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