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富士山の山麓で太陽光発電の自粛を要請、世界文化遺産の景観を守る:法制度・規制
静岡県の富士市が特定地域を対象に、太陽光発電設備の設置自粛を要請する行政指導方針を施行した。富士山頂から南へ20キロメートルほどの場所にある環境管理計画区域で、広さは6700万平方メートルにおよぶ。罰則のない行政指導とはいえ、太陽光発電設備を設置することは難しくなった。
自粛を求める地域は富士山の南側の山麓に広がる森林地帯である。富士市が1991年から「自然の節度ある利用」をスローガンに開発を抑制してきた「富士・愛鷹(あしたか)山麓地域環境管理計画」の対象区域である(図1)。富士山麓の緑豊かな自然を守るのと同時に景観を損ねないようにすることが計画の目的になっている。
2012年7月に固定価格買取制度が開始されて以降、静岡県内でも太平洋沿岸を中心に大規模な太陽光発電設備の建設が相次いでいる。富士市みずからも沿岸部にある下水処理施設の屋根にメガソーラーを建設中だ。ただし富士山の山麓地域にまでメガソーラーが広がってしまうと、景観や眺望を損ねる可能性があるため、地域と条件を指定して自粛を要請することになった。
対象区域を横断する国道469号を境に、北側の土地は無条件で自粛を要請する(図2)。この一帯は富士山を世界文化遺産に登録した際に、「緩衝地帯」として自然保護を必要とする場所に指定された。一方の南側の土地については、すでに開発許可などを受けている場合には自粛要請の対象から外れる。
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