物流施設のCO2排出量を25%削減、屋上メガソーラーと空気還流システム:スマートファクトリ
温度と湿度の管理が重要な物流施設では年間を通じて大量の電力を消費する。大和ハウス工業は神奈川県で建設中の5階建ての物流施設に最新のエネルギー技術を導入して、CO2排出量を25%削減する実証実験を始める。屋上にメガソーラーを設置するほか、空気還流システムで空調効率を高める。
大和ハウス工業の「DPL相模原」(神奈川県相模原市)は5階建てで、すべての階に34台分の接車バース(倉庫に隣接した駐車スペース)を備えた大型の物流施設である。免震構造によって地震時の揺れを最大8分の1に抑えて荷崩れを防止する一方、施設内のCO2排出量を25%削減することに取り組む。
屋上の7000平方メートルのスペースには太陽光パネルを設置して、1MW(メガワット)の電力を供給できるようにする計画だ(図1)。発電した電力は2014年4月から東京電力に売電する予定で、この発電量もCO2の削減分に換算する。
さらに施設全体の空調と照明の電力消費量を削減する。照明はすべてLEDを導入したことで、通常の蛍光灯と比べてCO2排出量と光熱費を42%削減することができる。空調は空気還流システムを使って、特に夏の冷房効率を高める。地下に設けた免震層(免震ピット)から外気を取り入れて空調と換気に利用できる仕組みで、温度が上昇しやすい最上階の気温を1.3度ほど下げる効果がある(図2)。
施設内の電力消費量の大半を占める空調・換気・照明は独自開発のエネルギー管理システムで監視・制御する。各所に温湿度センサーを設置して、電力消費量と合わせてデータを見える化するほか、空調・換気装置の自動運転も可能になる(図3)。
大和ハウス工業は12月24日からエネルギー管理システムを稼働させて、CO2排出量の削減効果を検証することにしている。その検証結果をもとに、DPL相模原に導入した各種の技術を今後の物流施設の施工・運営に生かしていく狙いだ。
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