太陽光で走るプラグインハイブリッド車が登場、屋根全面に発電パネルを搭載:電気自動車
大手自動車メーカーで初めて米フォードモーターが車体の屋根に太陽光発電ユニットを搭載した電気自動車を開発した。発売中の5人乗りプラグインハイブリッド車をベースにしたコンセプトカーで、米国内の標準的なドライバーの走行パターンのうち75%までは太陽光だけで走ることができる。
米フォードモーターが開発したコンセプトカーは「C-MAX Solar Energi Concept」と名付けられた。同社のヒット商品である5人乗りプラグインハイブリッド車「C-MAX Energi plug-in hybrid」をベースに、車体の屋根全面に新開発の太陽光発電ユニットを搭載したコンセプトカーだ(図1)。1月7日から米国ラスベガスで開催される「2014 International CES」で初めて公開する。
フォードによると、太陽光発電ユニットを搭載したプラグインハイブリッド車でも従来のモデルと同等の性能を発揮する。航続距離は620マイル(約1000キロメートル)に達し、バッテリーに貯めた電力だけでも21マイル(約34キロメートル)の走行が可能である。
バッテリーの容量は8kWhで、太陽光発電ユニットからの電力を貯蔵することができる。米国内の標準的な走行パターンのうち75%までは太陽光だけで走ることが可能になる見込みだ。これにより年間のCO2排出量を最大4トンも削減できて、一般家庭で4カ月分のCO2排出量を節約することができる。
屋根に搭載する太陽光発電ユニットは米サンパワーが供給するほか、太陽光を集約して発電効率を高める技術を米ジョージア工科大学が開発した(図2)。集光のために灯台などで使われているフレネルレンズを採用して、通常の8倍の効果を得られる点が特徴だ。さらに太陽光の向きを追跡する機能を搭載して、日中に長時間にわたる発電を可能にする。
電気自動車の燃費に相当する“電費”は100MPGeになる(1ガロンのガソリンと等価な電力で100マイル=約160キロメートルを走行可能)。各メーカーが販売中の電気自動車やハイブリッド車とほぼ同等の性能で、トヨタ自動車の「プリウスPHV」が95MPGeの電費を発揮する。
フォードは今後ジョージア工科大学と共同で実用試験を繰り返しながら、量産の可能性を見極める計画だ。現時点で発売時期や価格は未定である。順調に行けば2年程度で市販できるとみられる。
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