本州最大43MWのメガソーラー、大きな汽水湖のほとりで運転開始:自然エネルギー
鳥取県と島根県にまたがる日本で5番目に大きい湖「中海」の湖畔で、本州最大規模のメガソーラーが2月1日に運転を開始する。干拓の後に残された広大な土地を活用したプロジェクトで、発電量は一般家庭で1万2000世帯を超える。渡り鳥が渡来する湖の自然環境と共生を目指す。
「中海(なかうみ)」は日本海からの海水と宍道湖からの淡水が混ざり合う汽水湖である(図1)。独特の自然環境から多くの魚介類や水草が生息しているため、白鳥をはじめとする渡り鳥の渡来地になっている。1950年代から始まった国の干拓事業によって大きな影響を受けたが、2000年に干拓事業が中止されて以降、自然環境が戻りつつある。
干拓によって造成された広大な土地の一部を活用して、本州で最大規模のメガソーラーが2月1日に運転を開始する。ソフトバンクグループのSBエナジーと三井物産が共同で建設したもので、発電能力は42.9MW(メガワット)に達する。国内では「鹿児島七ツ島メガソーラー発電所」の70MWに次いで2番目になる。
建設用地は湖畔にある3カ所からなり、敷地面積は53万平方メートルに及ぶ(図2)。土地の所有者は鳥取県、米子市、鳥取県住宅供給公社に分かれていて、発電開始から20年間にわたってメガソーラー用に貸し付ける。このうち米子市がSBエナジーと締結した契約内容によると、太陽光発電による売電収入の3%を貸付料に定めている。
年間の発電量は全体で約4500万kWhになる見込みだ。一般家庭で1万2000世帯分を超える電力使用量に相当する。固定価格買取制度による2013年度の買取価格(1kWhあたり36円、税別)を適用すると、年間の売電収入は16億円強になる。買取制度で保証される20年間では300億円を超えて、地元の自治体にも多額の貸付料が入る。
鳥取県から島根県にかけての日本海沿岸部は風況が良いことから、大規模な風力発電所が数多く稼働している。ただし中海には貴重な鳥類が飛来するために、大型の風車を使った発電設備を建設することは環境保護の観点から望ましくない。広大な干拓の跡地を利用した再生可能エネルギーのプロジェクトとしては、環境影響の少ないメガソーラーが最適だったと考えられる。
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