大都市の郊外に建設したメガソーラー、コンテナ型の変電設備で安定稼働へ:蓄電・発電機器
神戸市の中心から約10キロメートルの郊外に、2つのメガソーラーが相次いで完成した。いずれも2MW(メガワット)の発電規模で、大量の太陽光パネルを不規則な配列で設置しても安定した発電量を得られるように、コンテナ型の変電設備を導入したことが特徴だ。
神戸市の西区にある伊川谷(いかわだに)は、田んぼが多く残る田園地帯である。市の中心地区から西へ10キロメートルほどの距離にあり、四国とつながる淡路島にも近いことから、3本の高速道路が通る交通の要所にもなっている。その利便性と広い空き地を利用して、2つのメガソーラーが相次いで完成した(図1)。
2カ所ともに発電能力は2MW(メガワット)で、1つ目は1月23日に運転を開始した。2つ目の発電設備も完成して、関西電力の送配電ネットワークに接続する準備を進めているところだ。兵庫県を中心にメガソーラー事業を展開するIDECと、世界各地で発電関連機器の設置実績があるシュナイダーエレクトリックが共同で事業化する。
両社は兵庫県の福崎町でも2013年12月に2.7MWのメガソーラーを稼働させていて、短期間のうちに3カ所のメガソーラーを立ち上げる。各メガソーラーにはシュナイダー製のコンテナに内蔵した変電設備を導入して工期を短縮した。
この変電設備は強度の高いコンテナの中に、パワーコンバーター、昇圧変圧器、配電盤などをパッケージ化したものである(図2)。メガソーラーから電力会社の送配電ネットワークに向けて安定した電力を供給する役割を果たす。
一般にメガソーラーでは大量の太陽光パネルを複数の配列(ストリング)に分けて運用するため、太陽光の当たり方の差などによって配列ごとの電圧が一定にならないことがある。電圧が一定にならないとメガソーラー全体の発電量が低下してしまう。そうした電圧の違いを自動的に調整して、安定した電力を送配電ネットワークに供給するのが昇圧変電設備である。
太陽光発電で標準的に使われるパワーコンディショナーが昇圧機能を内蔵している場合もある。シュナイダーの昇圧変電設備は関連機器をコンテナに集約して、トラックで現地に配送して設置できるようにした。工事にかかる期間と費用を低減できるメリットがある。
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