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太陽光×蓄電池=電気バス、北九州市で営業運転へ:電気自動車(2/2 ページ)
「世界の環境首都」「アジアの技術首都」をうたう北九州市で、再生可能エネルギーのみを使う電気バスが走る。出力7.5MWのメガソーラーで発電し、大型蓄電池に充電、新型充電器で高速充電する。北九州で未来の車社会の姿が見えるのだろうか。
炭素繊維でバスを軽量化
運行する電気バスは80kmを走行できるだけの蓄電池を搭載する必要がある。バスの定員は72人。この規模だと軽油を利用するバスでも車両の重量は10トンを超える。搭載する大容量のリチウムイオン蓄電池や大出力のモーターの重量を考えると、より重くなることは避けられない。こうなると燃費ならぬ「電費」が悪くなり、営業運転には不利になってしまう。
そこで東レの炭素繊維強化樹脂(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastic)を採用した。炭素繊維は鉄の1割の重量で鉄と同じ強度を得ることができる。これを樹脂で固めた複合素材がCFRPだ。同社のCFRPはボーイング787の機体軽量化にも役立った技術であり、電気自動車にも向く(関連記事)。「CFRP採用により車重を約1トン減らすことができた」(立地促進課)。その結果、電動システムを組み込んだ後の車両重量を11.25トンに抑えることができ、最高時速85kmも実現した。
搭載するリチウムイオン蓄電池の容量は93.24kWh、これは日産自動車「リーフ」の約3.9倍に相当する。電気バスでは全蓄電池容量のうち、80%を常時利用する(SOC=10〜90%)。蓄電池の冷却方式は空冷だ。走行用モーターの出力は240kW。非同期誘導三相交流モーターを利用する。
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