太陽光の買取価格、2014年度は事業用が32円:法制度・規制
固定価格買取制度(FIT)の買取価格(調達価格)について、調達価格等算定委員会の委員長案が明らかになった。10kW以上の事業用太陽光は32円/kWh(税別)、10kW未満は37円/kWh(税込)である。洋上風力や小水力についても価格が示された。
太陽光発電などの買取価格(調達価格)について、議論に進展があった。2014年度(平成26年度)は、出力10kW以上の事業用が32円/kWh(以下税別、1kWh当たり)となり、2013年度の36円から4円引き下げられる見込みだ。
経済産業省資源エネルギー庁は2014年3月7日に「調達価格等算定委員会」(第15回)を開催、これまでの議論を踏まえた委員会の「意見(案)」に加えて、「委員長案」が示された(図1)。冒頭の金額は委員長案に明示されている。図1にある資本費や運転維持率、設備利用率、IRR(内部収益率)は、買取価格を算定した根拠である。なお、出力によって資本費が異なるため、太陽光発電について10kW以上500kW未満という新しい区分を設けるという意見は、議論の結果、今回は採用されなかった。
今後は2013年度と同様のスケジュールで買取価格が最終決定する。2014年3月末までに経済産業大臣が委員会の取りまとめを受けた金額を発表する予定だ。
洋上風力と新しいタイプの小水力の価格も
委員長案では、この他に3種類の再生可能エネルギーについて買取価格が明示されている。まず住宅の屋根などに設置される10kW未満の太陽光は、従来の38円(税込)から1円だけ下がって37円となった。調達期間は10年のまま据え置く。
新しく買取価格を設定された再生可能エネルギーもある。技術開発が急速に進んでいる洋上風力だ。買取価格は36円(以下税別)、調達期間は20年。従来の(陸上)風力(20kW以上は22円、20kW未満は55円)とは全く異なる金額である。
水力にも新しい価格区分が生まれた。設置済みの導水路を用い、電気設備と水圧鉄管を更新して発電する「既存導水路活用中小水力」だ。導水路などの土木設備は建設後、100年近く利用できるものもあるため、土木設備のコストを除外して価格を選定した。出力によって3種類の買取価格があり、25円(200kW未満)と21円(200kW以上、1000kW未満)、14円(1000kW以上、3万kW未満)である。調達期間はいずれも20年。
委員長案では以上に挙げたもの以外の再生可能エネルギーについて、2013年度の買取価格に据え置くとしている。洋上風力以外の風力と、従来の小水力、地熱、バイオマスである。
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