6%の節電目標を上回った北海道、3年連続で最大電力が減少:電力供給サービス
電力会社の予想を超える節電効果が各地で上がっている。北海道では目標の6%を上回る6.7%の節電率を達成して、今冬も電力が不足する事態を回避できた。12月〜2月の平均気温はマイナス2.2度で、節電目標の基準になる震災前の2010年度よりも0.8度低い状況だった。
北海道の最大電力の推移を見れば、節電効果が年々大きくなっていることがわかる。震災前の2010年度に579万kWの最大電力を記録して以降、毎年10kW前後の減少が続いている(図1)。2013年度も前年の2012年度から12万kW少なくなった。
ただし最大電力が発生した日の平均気温は2012年度よりも1.5度高かった。この気温の差が当日の電力需要に影響したように見えるが、実際には気温の影響を考慮しても北海道の電力需要は減っている。
北海道電力が冬の平均気温と最大電力をもとに、2013年度の節電効果を分析した結果がある。それによると気温の差を考慮しても、2013年度の平日の最大電力は2010年度から29万kW程度(5.4%)の減少、2012年度と比べても6万kW程度(1.1%)の減少になっている(図2)。
さらに状況を詳しく見てみると、今冬で需要が最大になったのは1月17日(金)の17時台で540万kWだった。それでも北海道電力が設定した目標値544万kW(2010年度の最大電力579万kWから6%減)よりも少なくて済んだ(図3)。
当日は北海道の広い範囲で雪が降り、道内では比較的温暖な札幌市でも最低気温がマイナス10度に達している。この日から2月上旬にかけて、札幌市の最低気温がマイナス10度を下回る日は何度かあったが、最大電力が目標値の544万kWを超えることは1度もなかった。
この結果、供給力にも余裕があった。12月17日には北海道電力で最大の火力発電設備である苫東厚真発電所の4号機(出力70万kW)がボイラー内部の損傷によって運転を停止している。2002年に稼働した新しい石炭火力発電設備だが、1月13日まで30日間にわたって停止する計画外の事態である。
それでも東北電力などからの余剰電力を受けて、供給力の予備は常に30万kW以上を確保した(図4)。北海道では予備の電力が30万kWあれば、最大電力に対して予備率5%以上を維持することができて、電力が不足する危険性はほとんどない。
北海道電力は最悪の事態として、発電所の運転停止中に他社からの電力供給も受けられなくなってしまう状況を常に想定している。仮にこの問題が苫東厚真4号機の停止中に発生していた場合には、供給力がさらに30万kW低下して、予備率が危険な水準の3%以下になっていた可能性がある。
同様の問題は原子力発電所が再稼働した後にも起こる。政府が検討中の「エネルギー基本計画」で定義したように、原子力を「安定して安価なベースロード電源」と位置づけると、発電所の運転停止による影響度はいっそう大きくなる。再稼働にかかわらず、今後も危機回避策は必要だ。
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