電力線通信でメガソーラーを監視、電力に載せて発電データを送る:蓄電・発電機器
多数の太陽電池パネルで構成する太陽光発電システムでは、故障したパネルを迅速に検知できることが重要だ。住友電気工業は発電した電力と一緒にデータも伝送する仕組みを開発した。電力線通信(PLC)と呼ぶ方式で、監視システムを安価に構築できるメリットがある。
電力線通信(PLC=Power Line Communication)は文字通り、電力線を使って通信する方式を言う。これから企業や家庭に設置されていくスマートメーターでも通信方式の1つとして採用されている。既設の電力線でデータも送ることができるため、新たに通信設備を構築しなくても電力の使用量や発電量を把握することが可能になる。
このPLC方式によるメガソーラーの監視システムを住友電気工業が開発した。太陽電池パネルから送られてくる電流をセンサーで計測して、そのデータをPLCで伝送する仕組みだ(図1)。
多数の太陽電池パネルを利用する発電設備では、複数のパネルをブロック単位にまとめて、「接続箱」で電力を集約してからパワーコンディショナーまで送る方法が一般的である。この接続箱の中にPLCの子機を設置して、パワーコンディショナーに接続した親機へデータを伝送する(図2)。
1台の子機で最大16列の太陽電池パネルから電流のデータを集めることができる。この電流のデータに電圧を掛け合わせれば、列ごとの発電量がわかる。発電量によって太陽電池パネルの故障がないかを列単位で検知する。
通常のメガソーラーでは1列に14〜18枚の太陽電池パネルを直列に接続することが多い。最大16列で合計250枚程度の太陽電池パネルのブロックを構成すれば、発電規模は50〜60kW程度になる。1MW(メガワット)のメガソーラーの場合には15〜20個のブロックが必要になり、ブロックごとに接続箱を用意する。
太陽光発電システムの場合には、接続箱からパワーコンディショナーまで直流で電力を送る。接続箱に設置したPLC子機で電流のデータを重ね合わせて親機まで送ると、親機で信号を分離してデータを取り出すことが可能になる(図3)。
住友電気工業が開発したPLC方式の監視システムは、メガソーラーで標準的な600〜1000ボルトの高電圧の電力線に対応できる。2014年7月から販売を開始する予定だ。
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