電力小売事業に必要な3つのサービス、クラウドでも提供:電力供給サービス
電力完全自由化が近い将来に見えている現在、関連サービスが充実しつつある。オージス総研と両毛システムズは、電力小売事業に必要なサービスを開発、2014年4月から提供を開始する。電気料金の計算や請求、回収に役立つサービスであり、顧客の契約情報やメーターなどの設備情報の管理も可能だ。
電力自由化に必要なサービスは何だろうか。電力が自由化されれば、現在の携帯電話がたどったような道筋をなぞる可能性が高い。電力をどこから購入するか、選択肢が広がる一方、料金体系が複雑化するはずだ。
現在のようにいったん契約を結ぶと、契約者が移転しない限り、そのまま同じ契約が続く――このような静かな関係は次第になくなっていく。料金が頻繁に変動することはもちろん、他の電力事業者と契約を結び直す機会も増えるだろう。
このような状況は電力を供給し、料金を収納する企業にとっては悩ましい。競争に参加しやすくなるものの、顧客や顧客ごとの料金を管理することが次第に難しくなっていくからだ。
ガスと電力の経験を生かす
既にこのような状況に至りつつあるのが、ガスだ。プロパンガスは自由料金であり、同一地域内に複数の企業が展開している。
両毛システムズは30年以上、国内のガス事業者向けに顧客料金管理サービス(CIS)を提供しており、導入実績は100社に及ぶ。オージス総研はガスや電力向けのCISを開発した実績があり、電力用スマートメーターの検針データを収集、蓄積し、見える化を実現するメーターデータ管理サービス(MDMS)を提供している。
そこで、両社は共同で「顧客料金管理サービス」(スタンダード版)を開発し、2014年4月から提供を開始する。海外の企業が提供するサービスやユーザー企業による自社開発と比較して低コストであり、短時間で導入できることをうたう。提供形態は2種類あり、導入コストや期間が短くなるクラウド版の他、パッケージ版もある。
時期は明示していないものの、顧客料金管理サービスの次期版(ハイエンド版)ではデマンドレスポンスなどの多様な電力料金計算が可能な料金計算エンジンを搭載する予定であるという。
主な機能は3つ
顧客料金管理サービスが対象とする顧客は、高圧一括受電事業者や電力小売事業者だ。
CISの機能は大きく3種類に分かれる。第1に、電気料金の管理だ。電気使用量に基づき、料金を計算し、請求情報を作成する。第2に顧客・契約情報の管理だ(図1)。電力料金はほとんどの場合、設備とひも付けられている。そこで、入居者申し込み情報を顧客情報や契約情報に反映させて管理できなければならない(図2)。第3に設備の情報を管理する。電力計(メーター)の種類と設置場所を登録可能だ。
今回開発したCISは既存の他システムとも連携して動作する。会計システムや見える化サービス、メーターデータ管理サービス、収納代行業者のサービスだ(図3)。オージス総研は2013年からスマートメーターを対象とした「クラウド型メーターデータ管理サービス」を提供しており、今回のCISとも連携させる*1)。
*1) 米ElectSolveのMDMSソリューションを国内向けにカスタマイズしたもの。米GEのスマートメーターと組み合わせた場合に強みを発揮するという。
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