再エネ賦課金は0.75円に、2014年度の買取価格と合わせて確定:法制度・規制
毎月の電気料金に上乗せされる「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の新しい単価が0.75円に決まった。前年の0.35円から2倍強に上昇して、標準家庭で月額225円の負担になる。CO2も放射能も出さないクリーンで安全な電力を増やすための費用として高いと考えるべきか。
再生可能エネルギーの固定価格買取制度が拡大して、利用者の負担増加が懸念されている。電力会社などが買い取った金額の一部が「再生可能エネルギー発電促進賦課金」として電気料金に上乗せされるためだ(図1)。2014年5月から適用する賦課金の新単価が1kWhあたり0.75円に決定した。
現在のところ買取制度に伴う費用負担の仕組みは複雑な形になっている。2012年7月に固定価格買取制度が始まる以前から、太陽光発電だけに適用する「太陽光発電促進付加金」が続いている。この付加金(「賦課金」と異なる)は電力会社ごとに別々の単価で、2014年9月まで電気料金に上乗せされる(図2)。2014年10月以降は全国一律の賦課金だけになる。
1kWhあたり0.75円の賦課金は標準家庭(月間使用量300kWh)の場合で月額225円に相当する。電気料金に占める割合は3%前後である。この賦課金は発電事業者の収入になって、設備運営の雇用を創出するほか、新たな再生可能エネルギーを生み出す原資にもなる。自治体が発電事業者の場合には、地域の振興策に生かすことができる。国が多額の税金を投入している原子力発電と比べて、国民の負担が大きいとは考えにくい。
賦課金と同時に2014年度の買取価格も確定した。政府の委員会が3月7日にまとめた最終案の通りに、太陽光発電の買取価格が引き下げられたほか、洋上風力と中小水力に新しい区分が設けられた(図3)。
今後の拡大が見込まれる洋上風力の買取価格は1kWhあたり36円(税抜き)になり、メガソーラーなどの非住宅用太陽光の32円を上回った。ただし太陽光は発電設備の建設費も下がっていて、事業者にとって不利な状況にはならない。2014年度も太陽光を中心に発電事業者の取り組みが活発に続くだろう。
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