海に浮かぶ超大型の風力発電所、福島沖で5月中に工事を開始:自然エネルギー
福島県の沿岸から東へ18キロメートル離れた太平洋上で、世界に先駆けた風力発電プロジェクトの第2期工事が5月中に始まる見通しだ。直径が167メートルに達する超大型の風車を洋上に浮かべて、大規模な発電事業に挑む。順調に進めば2014年末までに2基の超大型機が運転を開始する。
福島沖で実施中の浮体式による洋上風力発電プロジェクトが、いよいよ5月から第2期に入る。2013年11月に運転を開始した第1期の発電設備「ふくしま未来」(2MW=メガワット)に続いて、第2期では発電能力が7MWの超大型機を洋上で稼働させる計画である。
第1期の風車の直径が80メートルだったのに対して、第2期では2倍以上の167メートルに拡大する。しかも構造が違う2種類の発電設備を建設して比較検証を試みる計画だ。1基は水面から下の基礎部分が垂直に長い「アドバンストスパー」と呼ぶタイプで、もう1基は太い柱を直角に組み合わせた「V字型セミサブ」と呼ぶ基礎部分の上に、同じ規模の風車を設置する(図1)。
2基の超大型風力発電機は福島県の沖合18キロメートルの洋上で運転中の「ふくしま未来」と変電設備の「ふくしま絆」に隣接して配置する。発電した電力は「ライザーケーブル」と呼ぶ特殊な送電ケーブルを通じて福島県内に供給する仕組みだ(図2)。
新たに設置する2種類の超大型機は風や波・潮の影響による揺れ方が違うため、発電量などに差が出る可能性が大きい。両者を比較することにより、これから日本で増えていく浮体式による洋上風力発電所の建設に生かす狙いである。
実証事業を統括する資源エネルギー庁は5月中に超大型風力発電機の工事開始を計画している(図3)。ライザーケーブルの敷設を含めて9月中に工事を完了する見込みである。その後に設備の確認・検証作業を実施したうえで、順調にいけば2014年内に運転を開始できる運びだ。
2基の超大型機が運転を開始すると、福島沖のプロジェクト全体では16MWの発電規模になる。洋上では陸上よりも年間平均風速が速く、発電効率は陸上の20%を上回って30%程度まで上昇する。16MWの発電能力があると年間の発電量は4000万kWhを超えて、一般家庭で1万世帯以上に相当する電力を供給することができる。
福島沖の実証事業は2015年度末まで続ける予定になっている。第1期と第2期を合わせて3種類の発電設備と1種類の変電設備を洋上に浮かべて、発電量のほかに動植物や漁業に対する影響も検証する。このプロジェクトの結果が日本近海における洋上風力発電の動向を大きく左右することになる。
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陸地までの送電コストなど解決すべき課題も多い
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