東京電力の最新鋭ガス火力発電所、予定より早く6月中に全面運転へ:電力供給サービス
東京電力が茨城県の「鹿島火力発電所」で進めてきたガス火力発電設備の更新プロジェクトは予定よりも早く6月中に完了する見通しになった。3基の発電設備を最新鋭のコンバインドサイクル方式に増強する計画で、2基目が6月2日に、3基目も6月末までに営業運転を開始する予定だ。
電力会社の中で火力発電設備の新設・更新計画を最も積極的に進めているのが東京電力である。燃料費の高い石油火力から安い石炭火力へ、さらに発電効率に優れるガス火力の増強を既存の発電所を中心に推進中だ。その中でも最大の発電規模を誇る「鹿島火力発電所」で、最新鋭のガス火力発電設備が6月中に3基そろって営業運転に入る。
鹿島火力発電所は1970年代に運転を開始した1〜6号機の石油火力に加えて、新たにガス火力の7号系列を3基の構成で2012年に稼働させた(図1)。当初は1基あたり26.8万kWの出力だったが、高効率のコンバインドサイクル方式に設備を拡張して42.0万kW(計画時点では41.6万kW)に増強する工事を進めてきた。
すでに3基のうち「第1軸」がコンバインドサイクル化を完了して2014年5月1日に営業運転に入り、続いて「第3軸」が6月2日に営業運転を開始した(図2)。残る「第2軸」も当初の計画では7月に営業運転へ移行する予定だったが、時期を早めて6月中に移行を完了する見通しだ。
7号系列の3基すべてが42万kWの出力で営業運転に入ると、鹿島火力発電所の発電能力は566万kWに高まる。日本の火力発電所では最大である。東京電力の今夏の供給力は5612万kWを見込んでいるが、その1割強を担うことになる。
東京電力はコンバインドサイクル方式を採用したガス火力発電設備の増強計画を段階的に進めている(図3)。最新の設備では燃焼温度が1300度クラスのACC(Advanced Combined Cycle)と1500度クラスのMACC(More Advanced Combined Cycle)の2種類がある。
鹿島火力発電所の7号系列は熱効率(熱エネルギーから電気エネルギーに転換できる比率)がACCで最高の57%を発揮して、現時点のガス火力発電設備ではトップクラスになる。東京電力は鹿島7号系列でACCを最後にして、今後はさらに熱効率が高いMACCによるガス火力発電設備を拡大していく計画だ。
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