「エネルギー自立のむら」を増やす、50世帯未満の集落に補助金:スマートシティ
兵庫県は山間部を中心に点在する世帯数50未満の集落を「エネルギー自立のむら」に変えていく。集落の拠点に発電設備と蓄電池を導入して、災害時にも住民が生活を継続できるようにする計画だ。導入費用の50%を補助するほか、無利子の貸付を1件あたり最高5000万円まで実施する。
「エネルギー自立のむら」の対象になるのは、兵庫県内の「多自然地域」にある集落である。都市部にあたる市街化区域などを除いて、県内全域の大半が多自然地域に入る(図1)。それぞれの地域には自然が豊富に残る一方で、過疎化によって世帯数が減少する集落が増えている。安心・安全な生活環境を維持するために、県が補助しながら電力を自給できる設備を小さな集落にも導入していく。
各集落が「エネルギー自立のむら」の認定を受けるためには、避難所になる集落の拠点に再生可能エネルギーによる発電設備と蓄電池を導入する必要がある。発電設備は出力4kW以上、蓄電池は容量4kWh以上が条件になる。通常の住宅用の太陽光発電システムと蓄電池でクリアできるレベルだ。ただし停電時にも電力を供給できるように自立運転用のコンセントなどを設置しなくてはならない。
補助金は1件あたり最高500万円で、設備費や工事費などの導入経費のうち2分の1までを支給する。さらに補助金を除いた金額に対して最高5000万円まで無利子の貸付も実施する。発電した電力の売電収入などによって20年以内に返済できることが貸付の条件になる。
兵庫県はエネルギー自立のむらの公募を2014年7月31日まで実施中だ。集落の規模はおおむね50世帯未満の小規模な場合に限る。事前に住民の合意形成を確認して、自治会などの住民団体が申請者になる必要がある(図2)。
すでに発電設備を導入済みの集落が蓄電池だけを設置する場合も公募の対象になる。このほかに発電設備だけを導入する場合でも、設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)が60%以上を見込めるものであれば認定を受けることができる。小水力・地熱・バイオマスの場合には設備利用率が通常60%以上になり、年間を通して安定した電力を供給できるため、蓄電池がなくても災害時の電源として十分な役割を発揮する。
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