組合員は生協から電力を購入へ、未来が始まる第一歩:電力供給サービス(2/2 ページ)
日本生活協同組合連合会は、新電力会社「地球クラブ」を設立し、2014年10月からの事業開始を予定する。再生可能エネルギーを利用した電力を仕入れ、生協の施設に販売する。2016年の電力自由化に備えた動きともいえる。
どうやって電力を仕入れる
図2にあるように2014年6月時点で、日本生協連が手掛ける太陽光発電システムの設備容量の合計は4MWを超えている。5.7MWという地球クラブの仕入量の大半をまかなうことができる規模だ。
「電力の供給能力は十分あるのだが、当初は供給先を首都圏に限っており、図2の施設のうち、野田流通センター(図3)以外は利用しにくい」(日本生協連)。一般電力事業者に支払わなくてはならない託送供給料金(託送料)がかさむためことが理由である。
従って、所有する太陽光発電システムでまかなうことが可能な電力は、当面の間0.35MWだけとなる。「外部のバイオマス発電事業者から、必要な大半の電力を購入する計画だ」(日本生協連)。
利益を上げることはできるのか
地球クラブの事業では、他社から仕入れた電力を通常の電気料金よりも安く販売する。利益を確保するために、固定価格買取制度(FIT)と再生可能エネルギー発電促進賦課金(賦課金)*3)の交付金を利用する。
図4は買取価格を40円と仮定したモデルだ。40円で電力を仕入れても、利益が確保できる理由は、「仕入単価=回避可能原価+賦課金」という関係が成り立つため。回避可能原価に送電コストを加えたとしても、販売原価を通常の電力料金以下に維持できるという。「通常の電気料金より数%安価に販売しても、利益を確保できる計画だ。ただし、初期投資があるため、単年度で黒字にすることは難しい」(日本生協連)。
*3) FITの枠組みでは、電力を購入した顧客から電気料金と同時に電力会社が従量制の「賦課金」を回収する。電力会社は、費用負担調整機関にこの賦課金を納付する。同機関は買取費用という形で、事後に賦課金を電力会社に再分配する。再生可能エネルギーの導入速度が地方によって異なることを吸収する仕組みだ。
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