新しい駅の電力使用量を50%以下に、回生電力や太陽光発電で:省エネ機器
JR西日本は2016年春に神戸市で開業する新駅の電力使用量を同規模の駅と比べて50%以下に抑える。電車のブレーキ時に発生する回生電力を駅のエレベータやエスカレータに供給するほか、駅舎の屋根に太陽光パネルを設置する計画だ。回生電力によって削減できる電力量は10世帯分になる。
JR西日本は2016年春から2019年春にかけて、近畿圏で5つの新駅を開業する計画である。その第1弾になる神戸市の「まや駅(仮称)」に各種のエコ・メニューを導入する。特に大きな効果を発揮するのが電車の回生電力を活用することで、導入に向けて富士電機と共同で「直流電力変換装置」を開発中だ。
回生電力は電車がブレーキをかけた時に発生させることができる。通常は近くを走っている加速中の電車に送って利用しているが、それだけでは電力が余る。直流の回生電力を交流に変換するのが直流電力変換装置で、変換した電力は駅舎内の電気機器で利用できるようになる(図1)。
まや駅ではエレベータやエスカレータなどに回生電力を供給して電力使用量の削減を図る。開発中の直流電力変換装置は最大出力が50kWで、1日あたり100kWh程度の回生電力を供給することが可能だ。一般家庭で10世帯分の電力使用量に相当する。
さらに駅構内の空調や照明を人感センサーで制御できるようにするほか、駅舎の屋根には太陽光パネル(出力40kW)を設置する予定だ(図2)。こうしたエコ・メニューの導入により、従来の同規模の駅と比べて電力使用量を50%以下に低減できる見込みである。
JR西日本は新駅の開業にあたり、駅周辺で開発するマンションにもエコ・メニューを取り入れて街づくりを進める方針だ。まや駅をモデルケースに、これから開業する新駅でエコ・メニューを展開していく(図3)。
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