小売の全面自由化は2016年4月に実施可能、運営機関の準備が進む:動き出す電力システム改革(11)(2/2 ページ)
電力の小売全面自由化を推進する中核の役割を担うのが「広域的運営推進機関」である。すでに自由化に必要な準備は進んでいて、システム開発やデータセンターの委託先も10月までに決まる。2016年4月には小売事業者がシステムを使って電力供給の変更手続きを処理できるようになる。
本部は東京電力のビルに決定
広域機関の業務開始に向けた作業は3つの分野で始まっている(図4)。1つ目は広域機関の運営方針などを決める定款と業務規定の作成、2つ目は業務に必要なシステムの開発、3つ目はオフィスやデータセンターなど拠点の整備である。このうち定款・業務規定は7月中旬に開催する創立総会で確定する。
並行してシステム開発と拠点整備も進んできた。広域機関の本部を置く場所は、東京電力が都内に所有する「テプコ豊洲ビル」に決まった。システム開発とデータセンターの委託先も4月から公募が始まっている(図5)。
データセンターはメインとバックアップ用の2カ所を用意することにしていて、メインの運営会社は5月に決定した(社名は非公表)。バックアップのデータセンターも7月中に確定する。
広域機関の業務をサポートするシステムは3種類を開発する。需給計画などの主要業務に必要なシステムのほか、オフィス内のインフラになる非業務系システム、さらに「スイッチング支援システム」がある。8月から10月にかけて開発会社を決めて、2016年4月からは3種類のシステムを使って業務を開始する計画だ。
このうちスイッチング支援システムは第2段階の小売全面自由化を推進するためのものである。小売事業者が新たに獲得した顧客の変更手続き(スイッチング)をシステムでサポートする。中立的な立場の広域機関がスイッチング支援システムを運営して、すべての事業者に提供することになっている。
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