3000棟のアパートで発電・売電・消費、自由化後の太陽光の姿:電力供給サービス
レオパレス21は新電力会社(PPS)であるレオパレス・エナジーを設立した。設立の目的は電力小売完全自由化後に備えるためだ。アパートの屋根を借りて規模を拡大しつつある太陽光発電所から電力を入手し、まずはアパートの住民に販売する構想を描く。
レオパレス21が2016年の電力小売完全自由化に向けた準備を着々と整えている。同社は電力を販売する「顧客」を既に手中に収めている。全国55万室のアパート入居者だ。「発電所」もある。契約するアパートのオーナーから借りた屋根の上に設置した太陽光発電システムだ。「電力小売に使う電力源は全て太陽光で賄いたい」(レオパレス21)。
2014年6月には電力を販売する企業も設立した。新電力会社(PPS)であるレオパレス・エナジーである。既に資源エネルギー庁にPPSとして特定規模電気事業届出書を提出済みだ。レオパレス21は発電事業子会社として、レオパレス・パワーを抱えている(関連記事)。レオパレス・エナジーはレオパレス・パワーの子会社だ。
レオパレス21の手掛ける太陽光発電事業は幅広い(図1)。図1で(1)に分類されている事業はアパートのオーナー自ら発電設備を購入、設置し、売電収入を得るタイプだ。従って、レオパレス21の電力源にはなりにくい。電力源となるのは(2c)にある「レオパレス・パワーによる発電事業」だ。この事業ではアパートのオーナーから屋根の上のスペースを借り、レオパレス・パワーが発電設備を導入し、売電する。従って電力源として自由に活用しやすい。
図1にあるように、2014年5月末現在で、4種類の取り組みを含む(2)全体で2735棟のアパートを数える。「2014年5月末現在で、(2c)は約1000棟ある。これを3000棟まで拡大する計画だ」「(1)の取り組みはアパートオーナー側に資金が必要であるため、需要は一巡していると考えている。既に実績値が目標値に近い。今後は(2c)を求めるアパートオーナーが増えると考えている」(レオパレス21)。計画達成後は、50〜60MW規模の電力を入手できることになる。
同社は豪雪地域と火山灰の影響が大きい地域を除く全国で、レオパレス・エナジーによる電力販売を目指しているという。
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