北海道の風車落下事故で原因判明、落雷による電流がブレードを破損:自然エネルギー
2013年12月に発生した「オロロン風力発電所」の風車落下事故で最終報告がまとまった。事故当時から落雷の影響が有力視されていたが、実際に国際規格を超えるレベルのエネルギーをもつ落雷を受けていた。その結果、風車の中心部の内部圧力が上昇して破損につながったことが判明した。
「オロロン風力発電所」は北海道の北部の日本海沿岸にある(図1)。日本初の風力発電専門会社であるエコ・パワーが1998年に運転を開始して16年が経過した。風車1基あたりの発電能力は400kWで、2基の構成で800kWの電力を供給することができる。この2基のうちの1号機が2013年12月5日(木)の0時10分に落下事故を起こして運転を停止した。
外部の有識者を交えた事故調査委員会が原因を調べて、2014年6月25日に最終報告書を経済産業省に提出している。それによると、風車本体に落雷時に見られる損傷が数多く見つかり、落雷が発生する直前まで運転を続けていたことから、事故の原因は落雷によるものと推定した。
事故を起こした1号機では、3本のブレード(羽根)の1本が根元から破損して飛散・落下した。報告書にあるブレードの損傷状況を見ると、避雷システムの受雷部(レセプター)に落雷の痕が見られるほか、落雷によるアーク放電の痕跡が複数の箇所に残っていた(図2)。
さらに受雷部からつながる避雷導線が溶断していた。雷の電流が避雷導線を溶断する条件を算出したところ、ピーク時の電流やエネルギー量がIEC(国際電気標準会議)の規格値を超えていたことが推定できた。大きな電流によってアーク放電が発生した結果、ブレードの中心部で内部の圧力が上昇して、空気の膨張によって破損した可能性が大きい(図3)。
エコ・パワーは調査結果を受けて、避雷システムのケーブルを二重化するなどの改修を同型機すべてに対して10月末までに実施することを決めた。避雷システムとブレードの点検マニュアルを整備するほか、落雷情報に基づいて運転を停止して安全性を確認後に運転を再開する運用方針も徹底する。
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