ガス火力で最高効率65%を目指す、1700度級のコンバインドサイクル発電:蓄電・発電機器
燃料費とCO2排出量の削減に向けて、火力発電の高効率化が急速に進んでいる。国内メーカー最大手の三菱日立パワーシステムズは現在の技術で最高レベルの熱効率65%に達するガス火力発電プラントを兵庫県の高砂工場に建設する計画だ。出力51万kWで2018年7月の運転開始を予定している。
三菱日立パワーシステムズは三菱重工業と日立製作所の火力発電事業を統合した新会社で、米GE(ゼネラルエレクトリック)、独シーメンスに次ぐ世界第3位の火力発電プラントメーカーである。ガスタービン発電機で世界最高レベルの製品を開発中で、その実証設備を兵庫県の高砂工場に建設する。
これまでも高砂工場では最新鋭のコンバインドサイクル発電プラントの実証設備を運転してきた。2011年に稼働した現在の実証設備は熱効率(燃料の発熱量に対する発電出力)が60%を上回り、現在の商用段階にあるガス火力発電では最高レベルを発揮する(図1)。
ガスタービンの燃焼温度を1600度に引き上げて高効率を実現したが、さらに燃焼温度を1700度まで高めることができる次世代のガスタービンを開発している。熱効率は65%に達する見込みで、2020年代の火力発電設備の主流を担う(図2)。この次世代のガスタービン発電機を組み込んだ実証設備を4年後の2018年7月に高砂工場で稼働させる計画だ。
発電能力は現在の実証設備が39万kWであるのに対して、約3割アップして51万kWに達する。ガスタービンで36万kW、燃焼後の熱を利用して蒸気タービンで15万kWの電力を供給する。燃焼温度が1700度になるため、付随する排熱回収蒸気発生器や空冷復水器も合わせて更新する必要がある(図3)。
新しい実証設備は大規模な火力発電設備の建設時に義務づけられている環境影響評価のプロセスを実施してから着工する。2015年末までに環境影響評価を完了して、建設予定地の土質を改良した後に、2016年5月から工事を開始する予定だ。運転開始までの工期は2年強と短い。
ここ数年の燃料費の上昇を受けて、東京電力をはじめ大手の電力会社は火力発電設備の高効率化を急ピッチで進めている。すでに稼働中の火力発電設備の中では、関西電力が2013年8月に営業運転を開始した「姫路第二発電所」の新1号機が熱効率60%を達成して最高レベルにある(図4)。
さらに東京電力が2016年に営業運転を予定している「川崎火力発電所」の2号系列第2軸では熱効率が61%まで高まる予定だ。姫路第二と川崎のどちらも三菱日立パワーシステムズの高砂工場で実証運転中のガスタービン発電機と同型を採用している。
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