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パームヤシ殻で50MWのバイオマス発電、セメント工場の遊休地を活用スマートファクトリ

新電力のイ―レックスが2カ所目のバイオマス発電所を大分県に建設する。発電能力は国内のバイオマス発電所では最大級の50MWを予定している。セメント工場の遊休地を利用して、東南アジアから輸入するパームヤシ殻を燃料に使う。発電した電力で小売事業を拡大する計画だ。

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 イ―レックスがバイオマス発電所を建設する場所は、大分県の佐伯市にある太平洋セメントの「大分工場佐伯プラント」の構内にある。プラント内の遊休地に50MW(メガワット)の発電設備を導入して、2016年の秋に運転を開始する計画だ。投資額は約170億円を見込んでいる。

 すでにイ―レックスは太平洋セメントが所有する高知県の土佐工場の構内で、バイオマスを燃料にした「土佐発電所」(発電能力29.5MW)を2013年6月から運転中である(図1)。燃料には東南アジアから輸入するパームヤシ殻を使っている。大分県に新設するバイオマス発電所でも同様にパームヤシ柄を利用する計画だ。


図1 「土佐発電所」(左)、燃料に使うパームヤシ殻(右)。出典:イ―レックス

 パームヤシ殻はヤシから油を搾った後の外皮を乾燥させたもので、固定価格買取制度では1kWhあたり24円(税抜き)の買取価格になる木質バイオマスの1種である。イ―レックスはパームヤシ殻の安定供給体制を確保できたことから、2カ所目のバイオマス発電所の建設を決めた。年間の発電量は一般家庭で約10万世帯分に相当する規模になる見込みだ。

 イ―レックスは2001年から電力の小売事業を開始して、製造業の工場向けを中心に販売量を増やしてきた。2004年からはグループ会社を通じて発電事業にも乗り出し、自社電源と他社からの買取を合わせて供給力の増強を進めている。特に最近では再生可能エネルギーによる電力の調達に力を入れて、小売事業の特色の1つにしている(図2)。


図2 イ―レックスの電力買取・供給サービス。出典:イ―レックス

 バイオマス発電所の用地を提供する太平洋セメントはイ―レックスの株主でもある。2010年に国内のセメント生産体制を見直して、土佐工場と大分工場佐伯プラントを含む3カ所でセメントの生産を中止していた。既存の設備や土地を生かした新規事業を検討する中で、イ―レックスのバイオマス発電事業に協力することを決めた。

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