日本の天然ガスと石炭はオーストラリア産が最大、原油の中東依存は変わらず:データで見る世界と日本のエネルギー事情(4)(2/2 ページ)
火力発電の電源構成が大きく変化して、日本では天然ガスと石炭の輸入量が増える一方、原油は減少傾向が続く。現在は天然ガスの2割、石炭の6割をオーストラリアから輸入している。ただし原油を中東に依存する状況に変わりはなく、天然ガスも世界の埋蔵量の4割以上が中東に集中する。
原油は生産量・埋蔵量ともに中東が最大
今後も安定した供給状態が見込めるLNGと石炭に対して、原油は引き続き不安定な要素が多い。日本が原油を輸入している相手国はサウジアラビアの30.4%を筆頭に、アラブ首長国の22.1%、カタールの11.4%など、中東の国々で約8割を占める(図8)。これからも価格が上昇する傾向は続きそうだ。
世界全体の原油の生産量のうち3分の1は中東である(図9)。2000年以降も着実に生産量を増やしている。しかも埋蔵量では世界の半分近くが中東にある(図10)。原油を中東に依存する状況は長期的にも変わることはないだろう。日本のエネルギーコストを削減するためには、火力発電はLNGと石炭へ、輸送車両は電気自動車や燃料電池自動車へ移行することが重要になってくる。
こうしたエネルギーの市場に大きな変化をもたらすとしたら、シェールガスやシェールオイルなどの新しいタイプの化石燃料に期待がある。シェールガスの資源量はLNGに換算して約1兆5000億トン以上が見込まれている(図11)。日本の年間のLNG輸入量(8700万トン)と比較して、1万7000倍にものぼる膨大な資源量になる。
その一方で日本の近海でも、天然ガスを含む「メタンハイドレート」が大量に存在する可能性が高まってきた。政府は2020年代にメタンハイドレートから天然ガスの商業生産を開始できるように、埋蔵量の調査や掘削方法の研究開発を進めている。日本がエネルギーの自給率を高める方法は広がりつつある。
関連記事
- 2014年に入って高騰する電気料金、原油とLNGの価格が上昇
発電用の燃料では石炭だけが安定 - 国産の天然ガスとして有望な「メタンハイドレート」
日本近海の広い範囲に存在している可能性 - 新潟県沖で石油・天然ガスの試掘開始、メタンハイドレートよりも早く商業生産へ
佐渡南西沖で2014年4月から3か月間の試掘 - 火力発電でCO2排出量が増加、最大の問題は石油
2011年度における日本の温室効果ガス - CO2フリーのエネルギーに、水素を太陽光やバイオマスから作る
水素エネルギーの期待と課題(2)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.