水面に世界最大「太陽光」、各地に広げ60MW:自然エネルギー(2/2 ページ)
京セラと東京センチュリーリース、シエル・テール・ジャパンの3社は兵庫県に世界最大規模となる水上設置型メガソーラーを建設すると発表した。EPCとO&M、資金調達、水上架台を3社がそれぞれ担う。
どのように使う水上架台
採用する水上架台は高密度ポリエチレンでできているため、軽く作業しやすい。「Hydrelioは、太陽電池モジュールを載せるメインフロート(9kg)と作業用通路などに使うサブフロート(3.5kg)に分かれている(図3)。最大25kgまでの太陽電池モジュールを搭載でき、モジュールのサイズは60セル品が適する」(シエル・テール・ジャパン)。加東市の事例では、京セラの多結晶シリコン太陽電池モジュール(出力255W)を合計1万1256枚用いる。条件に適したモジュールだ。「特注品ではなく、既製の防水仕様品を用いる」(京セラ)。
図3では右からメインフロート、サブフロート、メインフロートがつながった様子を示しており、左のメインフロートの上に透明に描いた太陽電池モジュールが載っている。
組み立てやすさをうたう
Hydrelioを用いると、工事中に必要な作業スペースを減らしやすいのだという。「当社の水上架台は互いにピンで接続する設計になっており、工具が不要だ。陸上で1列分を組み、これを5〜6列つないで太陽電池モジュールを載せていく。多くの案件では池の周囲には資材を広げる空きスペースがあまりない。着工時には池の賃貸借契約が始まっているため、できるだけ水面を使うと工事費用を抑えることができる。作業者の熟練度に左右されるものの、水上架台を池に浮かせてから太陽電池モジュールを取り付けると作業スペースが少なくてすむ」(シエル・テール・ジャパン)。
太陽電池モジュールを載せた水上架台は池のある位置にとどめておく必要がある。「池の底の形状や地盤、水量を見て固定法を決める。岸から固定する手法と湖底にアンカーを置く手法があり、今回はアンカーを使う」(京セラ)。連結されたHydrelioは強度が高くなり、台風にも耐えるとした。
なお、水上設置型メガソーラーは、適地不足を解消する以外にもいくつかの利点があるという。まずは水の冷却効果によって、太陽電池モジュールの温度が上がりにくいため、地上設置型よりも発電量が多くなることだ。今回の事例でははっきりした数字が公開されていないものの、他社の事例では10%程度増える。
池にもよい影響がある。水面に影ができるため、貯水蒸発量が減り、藻類の異常発生を防ぐことができるという。
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