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風力の揺らぎを吸収「蓄電池」、構造変えて900A:蓄電・発電機器(2/2 ページ)
日立化成は、風力発電所などの出力変動を吸収する鉛蓄電池「LL1500-WS」を開発、2014年9月から販売する。電池1個から取り出し可能な電流を、従来の600Aから900Aに増やした。この結果、発電所に設置する蓄電池の数を減らすことができるという。
電池内部の端子などを改良
大電流を取り出すことを可能にする工夫は、2つある。いずれも「配線」に関係する改良だ。「蓄電池の構造は一般的な鉛蓄電池と同じであり、新製品でも正極、負極、電解液は従来製品と変わらない」(日立化成)。2Vという電圧や1500Ahという容量も同じだ。
第1の工夫は端子の本数だ(図2)。端子とは蓄電池の外部に電流を取り出す部分の部品。従来品では図2の右下にあるように、端子の数は正極に1本、負極に1本ある。これを新製品ではそれぞれ3本に増やした。これで端子部の断面積を約25%増やすことができたという*4)。
第2の工夫は蓄電池内部で複数の極板を並列接続している鉛溶接部だ。図2の上で青く縁取りした「くし形」の部分である。図2ではくし形の部分が全ての正極板を並列につないでおり、赤色のプラス端子と直結している(実際には負極用にくし形がもう1本ある)。新製品ではこのくし形の部分を極板当たり3本に増やし、1本当たりの電流密度を3分の1にした。
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