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ごみ焼却熱や地熱を利用できる、100kW級のバイナリー発電装置:蓄電・発電機器
低温の熱を利用するバイナリー発電装置の用途が広がってきた。これまで100度未満の温水に適用できる小型の発電装置を販売してきたIHIが、新たに100度超の熱に対応できる米国製のバイナリー発電装置を日本で発売する。ごみ焼却熱や地熱などを利用して最大出力は100kW以上になる。
IHIが新たに発売するバイナリー発電装置は、欧米で数多くの納入実績がある米国Verdicorp(ベルディコープ)社の製品である。バイナリー発電の媒体に有機物を利用する「有機ランキンサイクル(Organic Rankine Cycle)システム」を採用している(図1)。
バイナリー発電は低温の熱でも蒸気を発生させて、タービンを回して発電することができる。通常の火力発電では高温の熱で水から蒸気を発生させるが、バイナリー発電では低温で蒸発する沸点の低い媒体を使う。Verdicorpのバイナリー発電装置は沸点が15度の「HFC-245fa(フルオロカーボン)」を利用する。HFC-245faは不燃で無毒のために安全性が高く、バイナリー発電装置で標準的に使われている。
IHIが発売する製品は熱源の温度が120〜150度の場合に適用できて、最大出力は100kW以上になる。約2メートル四方の大きさのパッケージに収納して提供する(図2)。テストプラントで性能を確認してから、2015年3月に発売する予定である。
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