店舗から回収した廃食油でバイオマス発電、330世帯分の電力に:スマートファクトリ
関東を中心に1都7県で事業を展開する生協の連合体がバイオマス発電を開始した。店舗から回収した廃食油を再利用して、月間に10万kWhの電力を供給することができる。一般家庭で330世帯分の電力になり、さらに発電時の排熱も給湯に利用して化石燃料の使用量を削減する。
埼玉県に本部を置く「コープネット事業連合」は、生鮮食品の加工施設である桶川生鮮センターでバイオマス発電の実証実験を開始した。生協の各店舗で使用した廃食油を回収して、バイオディーゼル発電装置の燃料に利用する(図1)。2016年8月まで2年間にわたって実証実験を続けて効果を検証する予定だ。
バイオディーゼル発電装置はヤンマーエネルギーシステム製で、発電能力は25kWである(図2)。1日に14時間の稼働を想定していて、月間の発電量は約10万kWhになる見込みだ。一般家庭の電力使用量(月間300kWh)に換算して330世帯分に相当する。桶川生鮮センターでは補助電源として利用する方針で、日中の電力需要を削減するピークカットに生かす。
さらに発電装置と合わせて熱交換器も設置した。発電時の排熱を回収して給湯に利用するためで、供給できる熱量は電力に換算して月間に約17万kWhになる。給湯設備の燃料にはLPG(液化石油ガス)を使っていて、バイオマス発電の排熱を再利用することで化石燃料の削減にもつなげる狙いだ。
コープネット事業連合は神奈川県を除く関東の1都5県と長野県・新潟県の生協が集まる連合体で、合計429万人の組合員を対象に食品などを販売している。2013年度から「温暖化防止自主行動計画」に着手して、2020年度のCO2排出量を2005年度比で15%削減する目標を掲げた(図3)。
そのために再生可能エネルギーの導入量を拡大していく。2010年度の最大電力(7万2725kW)の20%に相当する1万4545kWを2020年度までに自家発電で作り出す計画だ。すでに物流センターの屋根などで太陽光発電を実施している。廃食油を活用したバイオマス発電も温暖化対策の一環で取り組む。
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