ため池に浮かぶ太陽光発電所が稼働、3400枚のパネルをポリエチレン製の架台に:自然エネルギー
兵庫県の小野市にある大きなため池の水上で、最大出力0.85MWの太陽光発電設備が動き始める。大阪ガスグループが地元の自治会と連携して設置した。太陽光パネルをポリエチレン製の架台に載せて水上に浮かべる構造だ。兵庫県内に4万カ所以上あるため池を利用した発電事業の先駆けになる。
農業用のため池に設置した太陽光発電設備では国内最大の規模である。場所は兵庫県の南部に位置する小野市の中島町にある「前ノ池」で、水上に建設した太陽光発電所が9月27日に運転を開始する(図1)。
発電能力は0.85MW(メガワット)になり、水上の太陽光発電設備では埼玉県の桶川市にある「ソーラーオンザウォーター桶川」の1.18MWに次ぐ規模だ。前ノ池の約半分の水上に3392枚の太陽光パネルを並べた(図2)。
年間の発電量は20年間の平均で100万kWhを見込んでいる。一般家庭で280世帯分の電力使用量に相当する。発電した電力は固定価格買取制度を通じて全量を関西電力に売電する予定だ。
太陽光パネルを水上に浮かべるために、架台の素材には軽量で劣化や腐食に強い高密度ポリエチレン製を採用した(図3)。さらに設備全体をアンカーシステムで水上に固定して、波や強風にも耐えられる設計になっている。
発電事業は大阪ガスグループのエナジーバンクジャパン(EBJ)が中心になって、地元の中島町自治会と共同で推進していく。中島町自治会はEBJに用地を貸与するほか、用地の維持・管理と発電設備の日常目視点検を実施する。その対価としてEBJは売電収入をもとに賃借料などを支払う契約である(図4)。
兵庫県内には農業用のため池が全国で最も多く4万カ所以上もある。同じ小野市内にあるため池を使って、兵庫県の県民局が2種類の設置方式による水上太陽光発電の実証実験を2013年7月から続けている。今後ため池に浮かぶ太陽光発電所が続々と誕生する見通しだ。
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