ニュース
「はやぶさ」の電力制御を家庭にも、HEMSを使わずに最大電力を抑制:エネルギー管理
小惑星探査機の「はやぶさ」が地球に帰還して注目を集めたのは2010年のことだ。はやぶさでは限られた電力を有効に活用するために、各装置が消費する電力量を制御できる独自の技術を使った。開発したJAXAは家庭やオフィスの節電にも生かせるように民間企業と共同で事業化を進めていく。
「はやぶさ」に独自の電力制御技術を搭載した理由は、推進力を得るためのロケットエンジンに大量の電力が必要になるからだ。エンジン以外にも多数の装置が電力を消費することから、全体の電力使用量を常に一定の範囲に抑えてエンジン用の電力を確保しなくてはならなかった(図1)。
はやぶさを開発したJAXA(宇宙航空研究開発機構)が採用した方法は、各装置が電力の使用状況を発信して、その情報をもとに個々の装置が全体最適のアルゴリズムで電力使用量を制限するものだ。各装置で並列に処理が進むために素早い制御が可能で、機器の追加・削除にも簡単に対応できる。
通常のHEMS/BEMS(家庭/ビル向けエネルギー管理システム)のように中核のコントローラが各装置の電力使用量を管理・制御する方式と比べて、導入や拡張が簡単でコストも安く済むメリットがある。JAXAが家庭を想定して実装した例では、無線通信のZigBeeで各装置から情報を送り、それをもとにエアコンなどの設定温度を変更して電力使用量を調整できるようにした(図2)。
関連記事
- 「燃料0」で世界一周、ボーイング747より大きな?飛行機
太陽電池とリチウムイオン蓄電池だけで飛行 - 月の赤道上に太陽電池を並べる「ルナリング」
2035年に全世界が必要とするエネルギーを供給
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.