上半期の販売電力量は前年から3.5%も減少、産業用だけ微減にとどまる:電力供給サービス
電力会社10社が2014年度の上半期(4〜9月)に販売した電力量は前年比で3.5%も減少した。家庭向けの電灯が5.6%減、オフィス向けの業務用も4.4%減と大きく落ち込んだ。工場などが利用する産業用だけは景気の回復もあって0.8%減と小幅な縮小にとどまっている。
今年の夏は猛暑にならなかったとはいえ、節電効果による電力需要の減少は間違いなく続いている。電気事業連合会がまとめた電力会社10社による2014年度上半期(4〜9月)の販売電力量は合計で4036億kWhにとどまり、前年同期の4181億kWhから3.5%の減少になった(図1)。上半期は2年連続で前年の実績を下回っている。
用途別に見ると、全体の3割を占める家庭などの「電灯」の販売電力量が5.6%も落ち込んだ。2013年度の上半期は前年比で1.0%の減少にとどまっていたが、2014年度は夏の冷房需要が少なかったこともあって5%を上回る減少率を記録した。同様にオフィスなどの「業務用」も4.4%の減少で、前年の0.3%減から大幅に低下した。
全体的に電力需要が落ち込む中で、工場などの「産業用」だけは0.8%の微減で収まった。2013年度の上半期は1.2%減だったことから、需要の低下に歯止めがかかってきたとも受け取れる。その状況を主要7業種で比較すると、「鉄鋼」と「非鉄金属」の2つが前年実績を上回っている(図2)。電力需要が最も大きい自動車や電機を中心とする「機械」も0.3%減で、前年の1.9%減から回復傾向がうかがえる。
ただし家庭と企業の双方で節電効果が着実に上がっていることも事実である。政府の委員会が分析した今夏の需給状況を見ると、節電による需要の減少は想定以上の規模に拡大している。この後の下半期(10〜3月)も節電効果が衰えることは考えにくく、上半期と同様に需要の減少は続くと見るのが妥当だろう。
2013年度は下半期に販売電力量が前年を上回り、通年では0.4%の小幅な減少に収まったが、2014年度は上半期の落ち込みを下半期にカバーできる状況にはない。11月から電気料金の再値上げを実施する北海道をはじめ、たとえ気温が低下しても需要が伸びる要因は見あたらない。2014年度は通年でも3%前後の減少率になる可能性が大きく、電力会社は売上の伸び悩みを想定しておく必要がある。
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