東北の再生可能エネルギーを増やして東京へ、100億円のファンド:自然エネルギー
2012年度から全国各地の発電事業に投資を続けている東京都が、新たに東北地方を対象に再生可能エネルギーに特化したファンドを組成する。東京都が10億円を出資するほか、運営会社2社を通じて総額100億円規模のファンドに拡大する計画だ。東北地方の電源を増やして消費地の東京で生かす。
東京都が創設した「官民連携再生可能エネルギーファンド」は2種類で構成する。1つは東京都内の発電事業を対象にした「都内型」で投資額は約2億円である。もう1つは東京電力と東北電力の管内を対象にした「広域型」で、これを最低でも40億円以上の規模に、現時点の見込みでは100億円程度まで拡大する(図1)。
福島第一原子力発電所の事故で明らかになったように、東京都を中心に電力を大量に消費する首都圏は東北地方の電源に大きく依存してきた。現在でも東京電力は福島県内で火力発電所や水力発電所を運転しているほか、再稼働を目指して準備中の「柏崎刈羽原子力発電所」も東北電力の管内である新潟県に立地している。一方で東京都内は地価が高く、再生可能エネルギーによる発電事業が難しい。
こうした状況を改善するために、東北電力の管内を対象に加えた広域型の投資ファンドを再生可能エネルギーに限定して実施することにした。東京都は広域型のファンドに10億円まで投資することを決めている(図2)。
さらに2社のファンド運営会社を通じて、東京都民や東京都内の企業を中心に出資を募る計画だ。ファンド運営会社にはJAG国際エナジーとスパークス・アセット・マネジメントを選定した。両社は2014年度末までにファンドの募集を開始する見込みである。
このファンドに先行して東京都は2012年度に「官民連携インフラファンド」を創設した実績がある。ファンドを通じて全国各地のガス火力や太陽光による発電事業に出資して、合計10カ所で約27万kWの発電規模に拡大している(図3)。
2014年度からは再生可能エネルギーが豊富に存在する東北地方に対象を絞って発電事業を展開することにした。東京電力と東北電力の管内は同じ50Hzの電力を利用できることから、地域間で送電しやすい利点がある。
東北地方では太陽光や風力による発電設備が急増して、供給量が需要を上回る可能性が出てきた。電力の消費地である東京電力の管内に供給できれば、この問題の解消につながる。そのためには東北電力の管内で送電容量を増強する必要があり、早急な対策が求められる。
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