遺跡の町の工場にメガソーラーが稼働、電力線通信で発電状況を監視:エネルギー管理
遺跡で有名な佐賀県の吉野ケ里町に新しいメガソーラーが運転を開始した。三井住友建設が自社工場の未利用地に建設したもので、4396枚の太陽光パネルで1MWの発電能力がある。14枚のパネルごとに電流を計測して、発電した電力と合わせてデータを送って監視できる点が特徴だ。
三井住友建設は佐賀県の吉野ケ里町(よしのがりちょう)にある自社工場の敷地内に、「三田川(みたがわ)太陽光発電所」を12月5日に稼働させた。建築物に使うPC(プレキャスト・コンクリート)を製造する工場で、3万5000平方メートルの敷地のうち利用していなかった1万3000平方メートルに発電所を建設した(図1)。
発電能力は1MW(メガワット)で、多結晶シリコン型の太陽光パネル4396枚を2台のパワーコンディショナーに接続している。最大の特徴は太陽光パネルを14枚ごとに1列のストリングにして、発電した電力と合わせて電流のデータをパワーコンディショナーへ送って発電状況をリアルタイムに把握できる点にある。
パワーコンディショナーには監視システムが接続されていて、モニターの画面にストリング単位の発電状況を表示することができる(図2)。この監視システムでは気象データと組み合わせて解析しながら、異常が発生したストリングがあれば色を変えて監視員に知らせる仕組みになっている。
電力線を使ってデータを送信する電力線通信(PLC:Power Line Communication)の技術を利用した。通信用の配線や電源が不要なため、コストを抑えて監視システムを構築することができる。太陽光パネルをパワーコンディショナーにつなぐ接続箱の中に、ストリング単位で電流センサーを取り付ければ工事が完了する(図3)。住友電気工業が開発したシステムで、商用のメガソーラーでは初めて採用した。
三田川太陽光発電所の年間の発電量は127万kWhを見込んでいる。一般家庭で350世帯分の電力使用量に相当する。発電した電力は2013年度の買取価格(1kWhあたり36円、税抜き)を適用して売電することができる。三井住友建設にとっては初めての発電事業で、今後も太陽光を中心に再生可能エネルギーの事業領域を拡大していく計画だ。
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