小型パワコン750台を分散配置、形が不規則なゴルフ場をメガソーラーに:自然エネルギー
避暑地で有名な那須高原のゴルフ場の跡地に、750台のパワーコンディショナーを使ってメガソーラーを建設する。ゴルフコースの形状のまま12万枚の太陽光パネルを設置するため、小型のパワコンを分散させて効率化を図る。全体の発電規模は15MWで、2016年3月に運転を開始する予定だ。
不動産事業のタカラレーベンが栃木県の那須高原に所有するゴルフ場の跡地でメガソーラーの建設工事を開始した。約40万平方メートルの用地に12万枚の太陽光パネルを設置する。パネルを設置するエリアは造成しないで、ゴルフコースのレイアウトに合わせてパネルを配置するのが特徴だ(図1)。
ゴルフコースは形が不規則なために、それぞれの区画に設置できる太陽光パネルの枚数に差が出る。そこで小型のパワーコンディショナー(パワコン)を数多く配置する分散型の構成をとることにした。1台のパワコンの出力は20kWで、平均160枚の太陽光パネルを接続する。合計750台のパワコンを組み合わせて、全体で15MW(メガワット)の発電能力になる。
太陽光パネルには高温に強い化合物系の薄膜タイプを採用した。年間の発電量は2100万kWhを見込んでいて、一般家庭で5800世帯分に相当する。発電した電力は固定価格買取制度を通じて全量を売電する予定だ。2013年度の買取価格(1kWhあたり36円、税抜き)を適用して、年間の売電収入は7億5600万円になる。
タカラレーベンは首都圏を中心にマンションの開発・販売を手がける一方で、新たに太陽光発電事業を拡大中である。2013年8月に栃木県の塩谷町で最初のメガソーラーを稼働させたのを皮切りに、合計8カ所で10MWの太陽光発電設備を運転している。運転中のメガソーラーは形が規則的で平坦な土地を利用したものが多い(図2)。
さらに計画中の発電所を加えると、全国25カ所で合計56MWになる(図3)。その中には首都圏の周辺地域のほかに、福岡・鹿児島・沖縄の3県も含まれている。引き続き開発案件を増やしながら、2019年3月までに100MWの発電規模を目ざす。
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