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二酸化炭素を半減、航空機用のバイオ燃料:自然エネルギー(2/2 ページ)
米ボーイングは2014年12月3日、バイオ燃料である「グリーンディーゼル」を用いた世界初のフライトテストに成功したと発表した。二酸化炭素排出量を半減できる他、現在のジェット燃料とコスト面で競争可能だという。
二酸化炭素削減量が多く、低コスト
グリーンディーゼルを供給したのはフィンランドNeste Oil(図2)。燃料製造から消費までの二酸化炭素排出量を化石燃料と比較して50〜90%削減できるとした。米国政府の奨励インセンティブを加味すると、価格は1ガロン当たり約3ドルであり、石油系航空燃料と比較して競争力があるという。
グリーンディーゼルは原材料として植物油と使用済み食用油、廃棄用動物性油脂を用いる*3)。他のバイオジェット燃料と比較して二酸化炭素削減量やコスト以外に優位性が2つある。
航空機用のバイオジェット燃料は規格認証制度があり、認証されていない燃料を使うことはできない。今回のフライトテストにより、グリーンディーゼルは2011年に承認されたHEFA航空バイオ燃料と化学的な性質が類似していることが確認できた。HEFA航空バイオ燃料は植物油などを水素処理して得られたパラフィンケロシンだ。
もう1つの利点は生産能力だ。グリーンディーゼルの生産能力は米国、欧州、アジアにあり、年間30億リットルを供給可能だと試算。現在の生産体制であっても全世界の航空燃料の最大1%を供給可能だとした。
*3) 車両用のバイオディーゼルとは原材料や化学的な組成が全く異なるという。
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