燃料電池バス=ミライ×2、電力供給能力が250kWhと大きい:電気自動車(2/2 ページ)
トヨタ自動車と日野自動車は、燃料電池車「MIRAI(ミライ)」の技術を利用した燃料電池バス「トヨタ FC BUS」を開発。2015年1月9日から実用化に向けた実証試験を開始する。建物に電力を供給するV2H機能にも優れており、供給能力は250kWhもある。
MIRAIの技術をダブルで利用
トヨタ FC BUSが内蔵する燃料電池関連の機器として、MIRAIが内蔵する「トヨタフューエルセルシステム(TFCS)」を用いた。TFCSを「2組」搭載することで、バスとして必要な走行能力を得る形だ。「制御システムや機器の配置は異なるものの、基本的なTFCSには大きな変更はない」(同社)。
TFCSには高圧水素タンク、燃料電池本体である「FCスタック」、FCスタックの出力を駆動用モーターが必要とする電圧まで高める「FC昇圧コンバーター」、燃料電池の出力を一部蓄えてスタート時や加速時に駆動用モーターに送る「駆動用バッテリー」(ニッケル水素電池)などが含まれている(図2)。
MIRAIのFCスタックの出力は114kW。燃料電池バスではこれを2つ搭載した。MIRAIの駆動用モーターの出力は113kW。燃料電池バスでは110kWのモーターを2つ搭載する。駆動モーターの最大トルクはMIRAI(335Nm)のちょうど2倍だ。
水素の容量は多いのだが
MIRAIのTFCSと大きく違うのは高圧水素タンクの数だ。2本(合計122.4L)搭載するMIRAIに対し、燃料電池バスは8本。合計480Lのタンク容積にMIRAIと同じ70MPa(700気圧)で水素を蓄える。
水素を満充填した場合の走行距離は、MIRAIの約650kmと比較して短くなっている。これは車体が重いことが影響している。「トヨタ FC BUSの車重は非公開。水素を満充填した場合、約150km走行可能だ(社内測定値)」(同社)。運行区間が決まっているバスでは、走行可能距離がMIRAIよりも短くても課題とはならないという判断があるのだろう。
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